抄録
赤外円二色性(VCD)分光法を用いてキラル分子の絶対配置決定に関する研究を行う中で、VCDバンドがキラル分子の立体配座にきわめて敏感であることを見いだし、最適化分子構造を整理するための立体配座コードの提案を行ってきた。その立体配座コードの適用範囲を広げていく中で、h,s,oの3種類の文字だけでタンパク質のコンフォメーションが記述可能な超二次構造データマイニング手法を開発した。本手法を、βカテニンのアルマジロリピートに適用したところ、hhshshhという非常に特徴的な構造フラグメントをもつことが見いだされ、アルマジロリピート構造を特定する構造因子として利用できることがわかった。また、免疫グロブリン軽鎖と主要組織適合遺伝子複合体クラスI,II分子に共通する超二次構造フラグメント(shhshss)は、肺胞蛋白症 GM-CSF 自己抗体やバセドウ病 TSH受容体抗体にも存在していなかった。