抄録
薬剤の投与は、期待通りの治療効果をもたらす一方、望ましくない副作用を引き起こすこともある。副作用は医薬品開発において重要な懸案であるにも関わらず、その分子学的の発生機構はほとんど未同定のままである。本研究では、薬剤—標的タンパク質の相互作用という分子レベルでの情報と、薬剤の副作用情報という表現型レベルでの情報という、異なるスケールでの情報を関連づける方法を提案する。我々は、スパース標準相関解析を適用し、薬剤—標的タンパク質相互作用データと薬剤—副作用データの間に相関セットを抽出し、それを用いて未知の副作用プロファイルを予測する手順を提案した。提案手法は、副作用の分子作用機序への議論を可能にするとともに、薬剤候補化合物に対して標的タンパク質プロファイルから潜在的な副作用を予測するのに有用であると期待される。