抄録
近年、試験管レベルの実験でRNA G-quadruplex(RGq)とタンパク質翻訳反応の関連性が次々と報告され、細胞内のどの遺伝子がどの位置でRGqを持っているのかを明らかにし、疾病との関連性を精査するような研究が世界各国で進められている。現時点において、細胞内RGqを探索する方法は核酸配列の熱安定性情報を考慮に入れ、「3塩基以上の連続するグアニン配列が4つ必要で、それら連続するグアニン配列間をつなぐループは7塩基以下でなければならない」というルールを適用している。しかし我々のグループではRGqに対して非常に高い選択性をもつ化合物(RGB-1)を化合物ライブラリーからスクリーニングにより見出し、このルールから外れる、今まで知られていなかった位置にRGqが存在していたことを見出した。本発表においてはこの手法を拡張し、タンパク質翻訳に関与している細胞内RGqを抗体アレイと化合物により網羅的に絞り込み、ストップアッセイによりRGqを構築している位置を見出す手法を紹介する予定である。