発表概要(日本語): メタンをCH3*とH*に切断するほど活性の高い、メタンの水蒸気改質反応に使われているようなNiなどの金属表面では、C–H結合の解離が進み、エネルギー的に最安定なCH*まで分解される。こうした従来のプロセスでは、CH*をH2OによりCOに酸化することで資源化するとともに、コーキングを防いでいる。仮に反応途中段階のCH3*やCH2*を安定化し、CH*よりもエネルギー的に安定にできれば、CH3*やCH2*の寿命が長くなり、メタンやエチレンなどに変換される可能性が高まる。我々は、このシンプルなアイデアを実現するため、DFT法を用いた網羅的な計算と、触媒インフォマティクス的手法を用いることにより、表面上でCH3*やCH2*がCH*よりも安定な材料を探索している。現在までに計算が完了している合金のうち、10種の合金についてはCH3*の方が安定であり、メタンの有用化合物への直接変換の可能性を見出した。