抄録
本研究ではβラクタム系抗菌剤に関する電子状態計算を行い得られた数値を記述子として類似度を算出し、類似度による順位付けと抗菌剤の分類が相関関係にあるかを調べた。また、第三世代セフェム系の分子について電子的記述子と大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)との相関を調べた。類似度による順位付けと抗菌剤の分類については2つの分類の分子と類似度による順位の間には相関がみられたが、そのほかの分類については相関がみられなかった。次に、電子的記述子を用いて大腸菌に対するMICを説明する回帰モデルを作成したところ、予測値と実験値との間に相関が見られた。このことから、電子的記述子がMICの説明変数となる可能性があると考えられる。