抄録
FAS阻害剤は、ガン細胞中に多量に存在する脂肪酸合成酵素(FAS)の働きを阻害するため、新たなガン治療法の一つとして期待されている。本研究ではFAS阻害能をもつとされる45種の分子について電子状態計算を行い、その種々の結果を用いて、17種類の電子的類似度を算出した。電子的記述子に対して回帰分析を行い、電子的記述子の数値から半数阻害濃度の予測値を算出する式を求めた。決定係数R2は0.81であり、高い相関が見られた。従って、得られた回帰式は化合物の物性を概ね再現できており、代替物探索において有用であると考えられる。