抄録
製造プロセスによる元素分布の変化等の状態変化を定量的に把握することは高性能デバイス開発の際に重要である。測定試料の状態解析の手法として電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy, EELS)が知られている。EELSで測定した情報から元素の濃度分布を得る手法としてMultivariate Curve Resolution Alternative Least Squares(MCRALS)が提案されているが、MCRALSでは試料に含まれる純成分のスペクトル間に類似性がある場合に解が不安定になる問題があった。本研究では、濃度分布は滑らかになる点に着目し、MCRALSを用いて元素の濃度分布を計算する過程で濃度分布に対するスムージング処理を導入することで不安定性の解決を試みた。Si基盤に積層したTi/Ti-O試料の熱処理前後のEELSデータに対して提案手法を適用し、酸素拡散の様子を推定することで、有効性を確認した。