抄録
現在、日本では化合物の毒性試験として、化審法に基づき、動物への28日間反復投与試験が行われている。この試験には1化合物あたり数千万円という高額な試験費用、長期試験期間による日本の科学産業の競争力低下、倫理的問題といった問題点が存在する。また、従来の定量的構造活性相関(QSAR)のみを用いた機械学習の毒性予測モデルにおいては、化合物の細胞等への作用機序がブラックボックスであること、モデルの適用範囲が明らかでないことといった点が問題である。そこで、最初に「化合物が体内に吸収されるか」を予測し、吸収されるものについて「化合物情報から細胞毒性試験結果」を、さらに「化合物情報+細胞毒性試験結果から各臓器についての毒性」を予測するという3段階のモデル構築を考え、各モデルについて適用範囲(AD)を明らかにすることを目指す。今回、「化合物情報から細胞毒性試験結果」を予測するモデルについて、様々な外れ値検出の手法を使用して解析を行い、AD設定の指標としてどの手法が有効であるかを調査した。