抄録
一般的に,実験データは得るのが困難であるが精度が高く,計算データは容易に得られるが信頼度が低い.そのため,実験データを機械学習で予測するために,容易に得られる計算データを追加することで,精度向上を狙うことがしばしば行われている.しかし,実験データと計算データは直接比較できない場合がほとんどである.これを可能にするために,物性値のpreferenceのみを用いた学習手法であるPreference learningによるデータ統合を検討する.それによって,ガウス過程およびベイズ最適化性能が向上するかを調査する.データ統合の性能を評価するために,酸化物のバンドギャップと分子の波長のデータセットを用いてテスト実験を行なった.実験データのpreferenceのみで学習されたモデルと比較して,計算データのpreferenceを追加したモデルは性能が向上することを明らかにした.また,シミュレーションデータの品質が,予測精度にどのように影響するかを検討した.