日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウムIII
終末期ケアの場とケア提供のかたち
鹿渡 登史子杉田 美佐子橋本 修
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2014 年 24 巻 2 号 p. 185

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抄録

近年の医療体制は,医療機関が機能分担し連携して,良質の切れ目のない医療を効率的に提供し,できるだけ短期間に在宅および地域に帰す地域完結型を目指して経済誘導されている.その結果急性期病院の平均在院期間はどんどん短縮し,早すぎる退院と受入側機関との医療機能の落差により,急激な治療方針の転換を迫られる事態が起きている.急性増悪で緊急入院となった終末期慢性呼吸器疾患患者を,長期に受け入れる病院や介護施設はきわめて少なく,患者・家族の選択肢は入院継続か,仕方がなく退院となるケースをよく経験する.
このような状況にあって,さまざまな規制のなかで施設を利用する慢性呼吸器疾患患者が,最後までその人らしく過ごせることに取り組む,ある老人福祉施設を紹介したい.慢性呼吸器疾患患者の終末期ケアでは,医療・介護側が患者の意思・希望を尊重し,その達成に向けて柔軟に対応する姿勢と工夫が,この難局の突破口となるのではないかと示唆された.

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© 2014 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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