抄録
本研究は電子的記述子と抗菌活性との相関を調べ、抗菌活性の高い分子を予測することを目的として行なった。まず、大腸菌に対するMICが報告されている分子27個の電子状態計算を行い、11個の電子的記述子を得た。これを用いて重回帰分析を行なった。その結果、p値が0.05以上のものが存在したため、最もp値の大きな説明変数を1つ除く変数減少法による変数選択を行なった。その結果、抗菌活性に影響を及ぼすと考えられる4つの記述子が選択された。また、この4つの説明変数を用いて作成された回帰モデルの決定係数は0.763であり、MICと電子的記述子との間に良い相関が見られた。得られた予測式を用いて147個の天然物のMICを予測した。その結果、抗菌活性の高いと予測した分子の中に、実際に抗菌作用を有するものが含まれていた。