抄録
新薬探索では、標的タンパク質とリガンドの間の相互作用の強さを電子状態計算で定量的に評価する手法として、フラグメント分子軌道(FMO)法が注目されている。FMO法は計算コストを劇的に改善する優れた手法ではあるが、数多くの化合物を対象とするバーチャルスクリーニングを行うには現時点では不向きである。このため新薬候補となるリガンドをあらかじめ絞り込む手法と組み合わせて利用することが必要であると考えられる。本研究では、FMOデータベースを活用した機械学習により、注目するタンパク質とリガンドの相互作用強度をリガンドの特徴を表す電子的記述子のみで再現できないかと考えて検討を行なった。p38 MAP kinaseリガンドを対象としてランダムフォレスト回帰モデルを構築したところ、電子的記述子と相互作用強度との間には良好な相関が確認された。このことから、得られた回帰モデルを用いれば、p38 MAP kinaseに強く結合する候補化合物のバーチャルスクリーニングが可能であると期待される。