抄録
砂床河川によく形成される河床形態のうちでも砂堆は,水路形や河川諸水理量と密接に関連し,河川プロセスにおいて重要な役割をもっていると考えられる.筆者は,千葉県・養老川安須に観測区間を設置して,約1カ月間に発生した出水毎に,河床形態と諸水理量を実測し,河床形態の実態,とくに区間内における砂堆形状の特性や流水変化による砂堆変化過程を明らかにし,それらの水理学的な考察を試みた.
その結果,水路幅の狭い区間ほど砂堆の発生がよく,波形状示数が大きいこと,流量増に伴って砂堆が平坦化する傾向があること,そして,これらの事実が区間内2断面で得た諸水理量と流量の関係を示す水理幾何学とも密接な関連があることなどが明らかになった.また,抵抗係教と砂堆波形状示数とは定量的な関係があり,フルード数が砂堆形状の形成に関与することが確かめられた.