1938 年 4 巻 9 号 p. 381-386
余は50名の健康男女につき上膊・橈骨・固有掌側指三動脈脈波を比較し,且,三動脈部間の脈波傳播速度を檢索せるに,1.脈波各棘の高さに關しては第一棘を除き小截痕,第二棘,截痕は末梢部に到る程低くなり,第三棘は末梢部程その高さを増す.2.脈波超始點より各波に到る時間間隔に關しては末梢部に到るに從ひ時間間隔を短縮す.而してその短縮は第二棘に對するもの最小なり.3.脈波速度は上膊・橈骨兩動脈間に於て平均917糎秒にして,同例に對する橈骨・固有掌側指兩動脈間の速度は平均991糎秒なり.實驗に際し其指導と便宜を賜はりたる京都帝國大學醫學部内科第三講座眞下教授に深厚の感謝を捧げ,併て同前川助教授の熱心なる御援助に深甚の謝意を表す.