中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
第105回中部日本整形外科災害外科学会
セッションID: 2-E-O-5
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O-32 脊髄腫瘍1
シャント術を施行した仙骨嚢腫の1例
村上 勝彦相谷 哲朗那須 正義
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抄録
【目的】保存的治療に抵抗性の仙骨嚢腫に対してシャント術を行ったので報告する。【症例】40歳の女性。主訴は腰痛と左下肢痛。5分間の坐位で疼痛が増強し、日常生活動作に支障を来たしていた。X線とMRIにて仙骨嚢腫の診断は容易であった。保存療法を1か月間行ったが効果なく、早期社会復帰目的で手術を行った。嚢腫とくも膜下腔との間にシャントチューブを挿入し、髄液漏出予防としてフィブリン糊を滴下した。術後1週間の臥床の後、軟性コルセットを装着し離床した。腰痛と下肢痛は消失し、2週間で退院、1か月で現職に復帰した。短期的だが髄液漏出もなく経過は良好である。【考察】仙骨嚢腫の治療は保存療法が原則であるが、反復する疼痛、知覚障害・筋力低下・排尿障害などを伴う場合や保存療法に抵抗する場合は手術的治療を考慮するべきである。手術方法には、嚢腫壁の縫縮、嚢腫壁の焼灼、弁機構の開放、嚢腫と周囲の神経との癒着剥離、シャント術など様々な方法がある。われわれは症状発現が、坐位による腹圧上昇に伴い、髄液圧が上昇しチェックバルブ機構により嚢腫内に髄液が流入。そのため嚢腫拡大を来たし、周囲の馬尾や神経根を圧排し、腰痛や下肢痛が出現するものと考えた。従って、シャント術で嚢腫の減圧を行うことで症状の改善が期待できるものと考えシャント術を行った。【まとめ】保存的治療に抵抗性の仙骨嚢腫に対してシャント術を行った。短期的ではあるが腰痛・下肢痛ともに消失し、髄液漏出もなく経過は良好である。
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© 2005 中部日本整形外科災害外科学会
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