中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
第105回中部日本整形外科災害外科学会
セッションID: 2-F-P-41
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P-16 P リウマチ2
中指DIP化膿性関節炎と思われた痛風性関節疾患の1例
浅井 靖小田 明彦小田 幸作市場 厚志三幡 輝久
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抄録
【目的】中指DIP関節に初発した比較的稀な痛風性関節炎の1例を経験したので報告する。 【症例】67歳、女性。平成13年4月、右中指DIP関節部の腫脹、発赤が出現し、近医を受診。Heberden結節の感染を疑い、切開排液および抗生剤投与により、1週間ほどで症状改善。平成16年8月初旬より再度同部の腫脹が気になり始め、8月26日ごろより発赤が出現し腫脹も著明となった。その後徐々に疼痛が増強したため9月9日に同医を受診し、翌日当科紹介初診。同日病巣廓清目的に手術を行った。背側より展開すると、DIP関節を中心に掌背側の皮下組織に白色チョーク様物質が広範囲に沈着していた。中節骨、末節骨の掌側に巨大な骨融解部があり、同部にも同様の白色物質が充満していた。掻爬後、骨破壊が高度なため関節固定術を施行した。病理組織は尿酸塩結晶周囲の線維化と異物巨細胞やリンパ球などを認める特徴的像であり、白色物質の結晶分析結果は酸性尿酸ナトリウム結晶であった。術後DIP関節部の疼痛は消失し、初診時9.8mg/dlと高値であった血清尿酸値も投薬にて正常にコントロールされている。 【考察】痛風の初回発作部位が手指関節であることは比較的稀であり、Heberden結節、化膿性関節炎、内軟骨腫などと誤診されることもある。骨破壊の進んだ本症例では関節固定を余儀無くされたが、痛風結節および痛風性関節炎の場合は掻爬のみで充分である例も多く、痛風を念頭におき加療する必要があると考える。
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© 2005 中部日本整形外科災害外科学会
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