ファルマシア
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代謝拮抗薬ミコフェノール酸モフェチルがワクチン抗体の獲得に及ぼす影響
平井 利典
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2024 年 60 巻 12 号 p. 1147

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抄録

2019年12月に武漢から始まった新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡散が,社会・経済活動を停滞に追いやったことは記憶に新しい.製薬企業がこぞって開発したワクチンの登場に,誰もが大きな期待を寄せたであろう.今日,数多くの病原体に対してワクチンが実用化に至っているが,免疫抑制療法を受けている患者がワクチンの恩恵を十二分に受けることの能否は,払拭できない疑問点として残っている.本稿では,主にB細胞の抗体産生機能を抑制するプリン代謝拮抗薬ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil: MMF)がワクチンの抗体獲得に及ぼす影響の解析結果を中心に紹介する.MMFと言えば,固形臓器移植の適応に目がいきがちであるが,ループス腎炎などの自己免疫性疾患にも適応を有しているため,多くの診療領域で参考になる知見であろう.

なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

1) Fatly Z A. et al., J. Infect., 88, 106133(2024).

2) de Weerd A. E. et al., Transpl. Int., 35, 10839(2022).

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© 2024 The Pharmaceutical Society of Japan
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