理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 699
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神経系理学療法
2点識別型スティック画像認識ソフトの開発
*増本 正太郎
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抄録
【目的】
 脳血管障害やパーキンソン病など体幹傾斜・前屈など異常姿勢を呈する患者は多い。こうした姿勢を放置すれば変形や拘縮を発生させ、歩行ならびに呼吸機能の低下につながり、ついには転倒を引き起こす誘因ともなる。こうした場合、従来セラピストが口頭で注意を促すか、前額・矢状面の状態を姿勢鏡等を通じて患者自身の目で捉え左右や前後方向に矯正を図ることが多い。右脳損傷や基底核疾患患者では空間における姿勢認知機能の低下が認められ、姿勢鏡では視覚的に目標が与えられないため姿勢矯正成績の不良につながっているとの指摘もある。そこでデジタルビデオ画像から取り込んだ映像から身体に接着したマーカ2点を識別し、その2点を直線で結びスティック画像としてリアルタイムにディスプレイ上に呈示することで姿勢フィードバックをかける装置を開発する目的で研究を行った。
【方法】
 姿勢フィードバック装置の概要は以下の通りである。
1)2点マーカ識別&スティック画像表示
患者の身体上の2点、例えば後頭隆起と胸・腰椎移行部(背面)、肩峰と大転子(側面)にマーカを貼付し、デジタルビデオカメラから取り込んだ映像をもとにコンピュータでこの2点を認識させた。次にこの点同士を結んだ直線をスティック画像としてディスプレイ上に表示させた。 
2)教師役ライン表示
同じディスプレイ上に教師役ライン(鉛直線)表示機能を設けることで、姿勢矯正角度の目標を示しつつ、二次元平面で2つの直線を一致、または平行にさせる課題を与えることが出来るようにした。
a.教師役に当たる別ラインをスティック画像とは異なる色で呈示した(静止画像)
b.教師役ラインは画面上、任意の位置に配置出来るようにした
c.教師役ラインとスティック画像とのなす角度を表示出来るようにした
【結果と考察】
 今回ビデオで捉えた身体上の2点をコンピュータで識別し、その2点間を結んだ直線をスティック画像としてリアルタイムにディスプレイ上に表示させ、立位や座位をとる患者の前額面や矢状面での姿勢矯正に資する情報を視覚的にフィードバックする装置を開発した。この場合、教師役に当たるライン表示も併せて同じディスプレイ上に表示し、姿勢矯正ラインの目標を示しつつ2つの直線を一致、または平行にさせる課題を与えることが可能になった。今後本装置の臨床適用を開始する予定である。
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© 2004 日本理学療法士協会
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