理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 28
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理学療法基礎系
免荷トレッドミル訓練装置の自作と、免荷による歩行率の変化
*武藤 久司野田 友和川崎 仁史岸田 知子石井 伸久上倉 洋人久下沼 元晶渡辺 聡美小柳 貴田中 繁鈴木 邦彦
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キーワード: 免荷, トレッドミル, 歩行率
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抄録

【目的】
1.はじめに
近年、パワーリハに代表されるように機器を用いた運動療法あるいは運動学習に注目が集まっている。免荷トレッドミル訓練(Body Weight Support treadmill training:BWSTT)も機器を用いるもので、トレッドミル上での歩行において、体重をハーネス等を用いた機構により免荷することにより、その訓練効果を上げようとする課題特異的なトレーニングである。
 この種の装置は市販されているが、安価な部品を組み合わせることによりこれを自作した。そして、この自作装置を用いて、健常者にBWSTTを応用し免荷量と歩行率の変化について調べた。これにより、自作装置の有用性について確認し、今後予定している片麻痺での計測の基礎的データの一つとする。
【方法】
用いた装置、被験者、計測条件は次のとおりであった。そして、BWSTTでの歩行を行った。
免荷装置:用いた免荷装置は自作したもので、免荷には滑車機構を用いて、その一方に吊具(メーカーと開発中)を介して被験者を吊し、他方には砂袋を吊す方法で行った。
計測機器:トレッドミル(フクダ電子社製MAT6000-c)はリハビリテーションでの歩行訓練用のもので、データの計測はデジタルビデオの記録から行った。
被験者:神経学的・整形外科的障害のない健常男性1名(身長170cm、体重63kg、年齢23歳)。
免荷量:体重に対し0%、10%、20%、30%、40%、50%とし、まず0から50%まで増加していき、その後0%まで減少させた
歩行速度:事前に確認した被験者の通常歩行速度(4.7km/h)とその半分の速度(2.4km/h)とした。
【結果】
免荷量の増大に伴い歩行率は増加傾向を示した。免荷量0%に対し50%での歩行率は、速さが4.7km/hのとき15%の増加(120から138へ)、速さが2.4km/hのときは24%の増加(102から126へ)を示した。その後免荷量を減少させると歩行率も減少するが、免荷量0%に戻しても元の歩行率には戻らず、速さが4.7km/hのときは5%増加(126)、速さが2.4km/hのときは12%増加(114)したままだった。
【考察】
自作したBWSTTは有効に機能することが確認され、現在メーカーと開発中の吊具と共に今後の研究に用いていくこととする。
今回は、被験者が1名でありデータについて深く検討することはできない。しかし、重要な示唆も与えられた。片麻痺に対する今後の計測においては、免荷量と歩行訓練の効果の関係を知ることが重要な要素となる。今回免荷量変化の順が歩行状態に影響することが分かったので、実験計画の中で免荷量の指定順については十分に検討していくこととする。

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© 2005 日本理学療法士協会
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