理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 748
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骨・関節系理学療法
前十字靱帯再建術後の等速性膝筋力(第2報)
―術後6か月時での検討―
*舌間 秀雄大峯 三郎木村 美子長尾 洋子吉本 奈美賀好 宏明蜂須賀 研二
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抄録
【目的】当院では,前十字靭帯(ACL)再建術後は当院のリハビリテーションプロトコルに従って訓練を実施している。スポーツ復帰は5~6か月を目標としており,健側に対する患側の膝関節筋力の割合(患/健比(%))が80%以上必要と判断されている。そこで今回,術後約6か月時における健側および患側の膝筋力について検討した。
【方法】対象者はスポーツ外傷により当院でACL再建術を受け,術前1~3日および術後4~7か月時に筋力測定が実施できた男16名(年齢23.8±10.5歳,身長171±5.0cm,体重 術前74.6±8.7kg,術後74.2±9.5kg)と女8名(年齢29.4±12.4歳,身長157±2.7cm,体重 術前52.8±6.7kg,術後52.8±7.8kg)の計24名である。受傷から手術までの期間は平均2.9±1.7か月,術後の筋力測定は平均6.0±0.9か月時である。60゜/secと180゜/secの2種類の角速度による膝伸展ピークトルク値(Nm)を求め,それを測定時の体重で除してそれぞれ標準化(Nm/kg)した。比較はpaired t-testを用いて分析した。
【結果】対象者24名の術前と術後6か月時の標準化した膝伸展ピークトルク値の平均値の比較において,60°/secでの健側の術前は2.70±0.64Nm/kg,術後は2.92±0.36Nm/kg,患側ではそれぞれ1.90±0.63Nm/kgと2.26±0.59Nm/kgで健側と患側ともに有意差(P<0.01)を認めた。また同様に180°/secでの健側では1.79±0.51Nm/kgと2.09±0.46Nm/kg,患側では1.41±0.50Nm/kgと1.79±0.50Nm/kgであり,それぞれ術前と術後の比較で有意差(P<0.01)を認めた。患/健比の術前と術後の比較において,60°/secでは70.1±16.1%と77.6±13.5%,180°/secでは78.8±18.9%と85.3±13.5%であり,それぞれ有意差(前者P<0.01,後者P<0.05)を認めた。また,患/健比の角速度間の比較では,術前と術後ともに両者間に有意差(P<0.01)を認めた。
【考察】今回の分析の結果,術後6か月時の膝伸展筋力の患/健比でみた回復は,180°/secでは85.3%であったが,60°/secでは77.6%であり,残念ながら80%には届いていなかった。しかしながらこれは,そもそも術前の患/健比に角速度間の差があるためで,術前からの変化量でみると180°/secが6.5%,60°/secが7.5%であり大きな違いはなかった。角速度による患/健比の違いは,受傷によるスポーツの中止,術後の膝関節の可動制限や筋活動の低下による特にType2線維の萎縮によるものと推察される。また,今回のスポーツ外傷による対象者において,受傷直後の健側の筋力は測定し得ていないが,術後6ヶ月間のトレーニングで有意に増大していることからも,受傷から手術までの約3か月の間に健側の筋力も有意に低下していたことを推察することができた。
【まとめ】ACL再建術後の膝伸展筋力は,6か月時において患側だけではなく健側も有意に増大し,また患/健比も測定する角速度によって違いがあることが分かった。
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© 2005 日本理学療法士協会
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