理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 533
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教育・管理系理学療法
理学療法士養成教育におけるDeath Educationについて(第2報)
*鳥居 昭久高尾 公矢木山 喬博加藤 真弓木村 菜穂子林 修司戸田 秀彦
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抄録

【はじめに】
理学療法士(以下PT)養成学校におけるDeath Education(以下DE)の現状について調査し、各PT養成学校におけるDEの実施状況等について第39回日本理学療法学術大会において報告した。同調査では、PT養成学校教員のDEに対する認識やPT養成教育におけるDE実施の問題点なども調査した結果から若干の知見が得られた。また、高木、古田、A.デーケン、小倉、木村、得丸、その他の報告を参考にDEカリキュラムを作成し、PT養成学校学生に対して試行した。その結果を含め、PT養成学校におけるDEのあり方について検討したので報告する。
【調査方法】
平成15年度版全国PT・OT学校連絡協議会会員名簿に記載されているPT養成学校教員のうち、平成15年4月現在で10年以上の教育実績がある養成学校の教員(56校466名)に対して、教員の属性、死に対する捉え方、DEの必要性、受講及び実施経験、PT養成教育におけるDE導入に対する問題点などをアンケート調査した。
 DEカリキュラムは先行研究報告を参考にPT養成教育に関連の深いと思われる項目を中心に試作し、PT養成学校学生1年生に対して試行した。この際、受講学生に対し、死のイメージや死に対する態度などを問う設問でアンケート調査を講義の初回及び最終回に実施、また最終回には受講に対する簡単な感想文を無記名で提出してもらった。講義の試行期間は平成15年4月~7月、平成16年6月~10月で、それぞれ30時間で行った。
【結果とまとめ】
教員調査では、170名から回答を得られ、PT養成教育の中でDEの多少なりとも必要性ありの回答が59%あり、得丸らの報告に近い値を得られ、PT教員も何らかの必要性を感じていることが示された。一方で、実施上の問題点として、DEを担当出来る教員や教材の不足、カリキュラム上の不備、現行カリキュラムの過密さ、その他が挙げられた。しかし、多くのDE関係報告をみると、必ずしもDE実施者はその専門家と思われる職種(医師や宗教家、哲学者など)とは限らない。家庭科、理科、英語教育など、むしろ医療保健関連職種以外の報告が目立つ。これはDEが必ずしも専門家のみの領域ではなく、学校教育の中ではアプローチの立場や方法が多岐にわたり、PTもDEの実施を積極的に進める必要性を示している。加えて、PT学生にDEを試行後に、学生の認識等に変化の傾向が見られたことから、DE実施には細心の注意は必要である反面、PT教育の中で情意領域面を中心に教育効果が期待できることが示唆された。

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© 2005 日本理学療法士協会
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