抄録
【目的】臨床実習の現状を把握する目的で、「臨床実習指導者(以下SV)養成」、「カリキュラムに占める実習時間の短縮」、「養成校への対応」、「指導方法」の4点を網羅したアンケートを全国のSVを対象に実施した。今回、その中から「指導方法」に関するアンケート結果について報告する。
【方法】アンケートの対象施設は、(社)日本理学療法士協会(以下協会)の会員名簿の中から、無作為に抽出した常勤の理学療法士(以下PT)が5名以上の114施設とした。平成16年2月10日、各施設にSV2名分の選択回答方式29問、自由記載回答方式7問の計36問からなるアンケート用紙を送付した。回答期限は、10日後の2月20日とした。なお、「指導方法」に関する設問は、全36問中13問であった。
【結果】回収率71施設62.3%、有効回答数136人59.6%であった。回答者の属性は、男95名、女40名(不明1名)、平均年齢33歳(23~60)、臨床経験年数は平均11.0年(2~33)、SVの経験年数は平均7.0年(1~28)であった。学生と話し合う平均時間は、「ほとんどない」は回答者を認めず、「15分」11名、「30分」53名、「45分」20名、「1時間」46名、「2時間以上」6名であった。職場に助言や指導をしてくれるPTがいるSVは109名、いないSVは27名であった。基本的知識が乏しい学生に対する具体的な指導法としては、「文献等の調査指導」37名、「レポート提出」17名、「自発的発動を促す」22名、「患者を通しての指導」7名、「その他」34名、無回答19名であった。理学療法の面白さを伝える指導を心がけているSVは120名であった。実習全体を統括・監督し、指導をスムーズに進行させるための職場における「コーディネーター」の必要性に関しては、「必要」71名、「不要」61名であった。SVとして学生の指導中に不安を感じることは、「ある」125名、「ない」10名であった。また、不安の改善にはSV自身の自己研鑽と、学生とのコミュニケーションの必要性が大多数であった。現在の実習形態を今後変えていく必要性の有無に関しては、「思う」83名、「思わない」48名であった。学生の指導方法として重きを置いている点としては、「患者数を多くする」23名、「患者数は少なく、考える時間を多くする」96名であった。
【考察】不安を感じながら指導をするSVが全体の90%以上いることから、臨床実習を受け入れる施設にはSVの悩みや指導方法の不安感を職場全体で解決していくために、実習コーディネーターが必要であると考えられた。また、多くのSVが抱えている問題点や悩みを協会が共有し、疾患や患者の実習指導法のみならず、学生指導に悩んだときに、SVが実際にどのように対応したのかを明記した手引き書の必要性が示唆された。