理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1155
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教育・管理系理学療法
Love法クリティカルパスの導入について
*後藤 研一酒井 健児岩永 竜也遊佐 隆岡田 知佐子住吉 徹是
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抄録

【目的】 当院では急性期から回復期の広範囲にわたる医療を実践している。患者個々のニーズや早期回復に留意するとともにチーム医療の向上を目的にクリティカルパス(以下、CP)を導入している。平成16年4月よりLove法術後患者にCPを導入し、6カ月後にバリアンスのチェックとリハプログラムの検討を行った。CP導入前と導入後のリハ開始時期、自力歩行時期、在院日数を比較検討し、導入成果を調査したので報告する。
【対象と方法】 平成13年2月から平成16年3月までのCP導入前にLove法を施行した旧Love法群76名、男性57名、女性19名、平均年齢40.42±13.64歳と、平成16年4月から9月までにCPを導入した新Love法群8名、男性5名、女性3名、平均年齢39.37±17.45歳のリハ開始時期、自力歩行時期、在院日数の各平均を比較検討した。
【結果】 旧Love法群の平均リハ開始時期4.59±2.56病日、平均自力歩行時期12.70±5.09病日、平均在院日数32.87±16.13病日であった。新Love法群の平均リハ開始時期1病日±0.0、平均自力歩行時期12.5±2.51病日、平均在院日数24.5±4.99病日であった。
【リハプログラム】 旧Love法群は術後7病日からリハビリ開始、自力歩行は適時症状に応じ許可した。退院時期は主症状の緩解を目安に主治医が決定していた。新Love法群は術後1病日からリハビリ開始、15病日から自力歩行開始、21病日に外泊指導。退院時期は28病日である。
【考察】 当院のLove法CPは患者及び家族が安心してうけられる医療を重要視しており、早期退院にのみ重点を置いていない。CPの作成にあたっては、旧Love法群のリハ開始時期、自力歩行時期、在院日数の平均を参考にしてリハプログラムを再考した。CPを導入した新Love法群は、自力歩行の開始時期が早くなり、在院日数の短縮が図れた。これらはリハビリを早期に開始することにより、廃用性の予防が図れ、CPによる治療計画を明確にする事で精神的、身体的不安の軽減、モチベーションも向上し、自力歩行の獲得も短縮されたと考えられる。病棟内でADLの獲得を積極的に働きかける事に加え、21病日の外泊指導がより現実的なADLとなり、退院に対する自信につながったと考えられる。以上の事により旧Love法群と比べ、新Love法群が在院日数を早めることができたと示唆される。バリアンスに関しては1症例のみ生じた。原因は家族の送迎等の問題で1日遅れの退院が生じた。CP導入後6ヶ月の評価において言える事は、正のバリアンスが多数あるため、今後、歩行開始時期と退院時期のさらなる短縮が図れると考えられる。
【まとめ】1)旧Love法群と新Love法群のリハプログラムの比較を行った。2)新Love法群の平均リハ開始時期、平均自力歩行の獲得、平均在院日数の短縮が図れた。

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© 2005 日本理学療法士協会
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