理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-MT-01-4
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2ステップテストの踏み出し脚における利き足,非利き足の違いが2ステップ値に及ぼす影響
田野 聡高岡 克宜徳元 義治安藝 友博鶯 春夫近藤 慶承
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抄録

【はじめに,目的】

ロコモティブシンドロームの判定のひとつに,2ステップテストが用いられている。2ステップテストは最大2歩幅を測定することにより,下肢筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価できる簡便なテスト法である。2ステップテストの測定については,2回実施し最大値を採用することが規定されているが,利き足,非利き足のどちらの足から踏み出しを行うかの規定はない。そこで本研究では,2ステップテストにおける踏み出し脚が利き足,非利き足の違いにより測定値に影響を及ぼすかどうかを検討することを目的とした。

【方法】

対象は,通所型介護予防事業に参加した二次予防事業対象者49名(男性7名,女性42名,平均年齢79.6±5.5歳,BMI23.8±2.7kg/m2)である。2ステップテストは2回実施し,1回目の踏み出し脚が利き足か非利き足かの選択は,検者がランダムに決定した。2回目の踏み出し脚は,1回目と反対側の足とした。2ステップの実測値は,開始肢位のつま先から最終肢位のつま先までの距離をメジャーで測定し,身長で除した値(2ステップ値)を算出した。また,1歩目のステップ(first step:以下,1st step)と2歩目のステップ(second step:以下,2nd step)のそれぞれの実測値および身長で除した値(身長比)を測定した。1st stepは,踏み出し脚の1歩目のつま先位置をビデオカメラで撮影後,パソコン上にて計測した。2nd stepは2ステップ実測値から1st stepを引いた値とした。なお,利き足はボールを蹴る側とした(右48名,左1名)。そして,踏み出し脚の利き足と非利き足の違いによる2ステップ値の他,1st step身長比および2nd step身長比の比較を行った。統計処理は対応のあるt検定を用い,有意水準は5%未満とした。

【結果】

2ステップ値は,踏み出し脚が利き足は1.07±0.16,非利き足は1.03±0.16であり,踏み出し脚が利き足の方が有意に大きかった(P<0.01,効果量r=0.50)。1st step身長比の利き足は0.54±0.09,非利き足は0.54±0.09で有意な差は無く,2nd step身長比の利き足は0.50±0.09,非利き足は0.53±0.08で非利き足の方が有意に高値を示した(P<0.01,効果量r=0.51)。

【結論】

2ステップテストは最大2歩で行われるため,踏み出し脚が右でも左でも影響はあまりないと考えられていたが,踏み出し脚が利き足の方が高い数値を示した者は34名(69.4%)で,2ステップ値は利き足が有意に高値を示した。1st step身長比は利き足と非利き足で差は無いため,2nd step身長比が2ステップ値に影響を与えると考えられた。この理由としては,2nd step時の非利き足の前方推進力の影響や支持脚となる利き足の支持性の影響などが考えられるが明確ではなく,今後の課題である。しかし,2ステップテストを行う際には踏み出し脚を利き足とした方が大きくなることが認められたため,本テストを施行する際には利き足と踏み出し脚を確認することが望ましいと考えられる。

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© 2017 日本理学療法士協会
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