理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-MT-37-4
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腰痛症患者における理学療法の転帰と年齢に関する因子の調査
~腰部多裂筋断面積に着目して~
神谷 尚紀野田 敏生光山 孝古川 公宣
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抄録

【はじめに,目的】

慢性腰痛症は,医療費の高騰を招くのみならず,患者の社会参加を妨げることによる経済損失も莫大であり,社会経済に与える損失が大きいとされている。その中で,慢性腰痛患者の腰部多裂筋に着目した研究報告は多くされている。しかし,腰痛症を呈した外来通院患者の腰部多裂筋断面積と理学療法の転帰との関係性を報告したものはない。

そこで我々は,当院でMRIを撮影した腰痛症を呈した外来通院患者に対し,腰部多裂筋断面積と理学療法の転帰との関係性を調査した。

【方法】

平成27年6月10日から平成28年7月16日までの期間に当院にて,理学療法が対象となった腰部疾患患者の中で,医師の指示によりMRIを撮影した282名(平均年齢54.7±19.4歳)に対し,L4/5間の腰部多裂筋の筋断面積を計測した。その中で,終了群(理学療法が終了となった患者)72名(平均年齢57.1±16.7歳)と慢性群(理学療法が3ヶ月以上続いている患者)210名(平均年齢53.9±20.2歳)に分け比較をした。また,各年齢(10歳~49歳,50歳~69歳,70歳~)に群分けし,腰部多裂筋断面積を比較した。測定には,POP-Net Viewer(イメージワン社製)を用いた。

比較項目は,慢性群と終了群の腰部多裂筋断面積の差に加えて,腰部多裂筋断面積と年齢の関係性を調査した。

統計学的解析にはStatView Ver.5.0 for windows(SAS Institute社製,USA)を使用し,対応のないT検定,ピアソンの相関係数を用い,有意水準は5%に設定した。

【結果】

・慢性群と終了群の腰部多裂筋断面積の比較

各群間に有意な差は認めなかった。

・慢性群と終了群における各年齢の腰部多裂筋断面積の差

10歳~49歳:終了群より慢性群の方が,腰部多裂筋断面積が有意に大きい。

50歳~69歳:各群間に有意な差は認めなかった。

70歳~:各群間に有意な差は認めなかった。

・腰部多裂筋断面積と年齢の相関

腰部多裂筋断面積と年齢に負の相関を認めた。

【結論】

本研究では,慢性群と終了群の腰部多裂筋断面積に差は認められず,10歳~49歳で慢性群の方が,腰部多裂筋断面積が有意に大きい結果となった。このことから,腰部多裂筋断面積と理学療法の転帰の関係性は低いことが示唆された。また,腰部多裂筋断面積と年齢に負の相関を認めたことから腰部多裂筋断面積は年齢に依存する部分が大きいと思われる。研究の限界として,医師の指示によりMRIを撮影したのは理学療法開始前であるため,理学療法が腰部多裂筋断面積に与える影響を考慮する事ができなかった点が挙げられる。

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© 2017 日本理学療法士協会
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