理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-SP-09-2
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若年スポーツ選手における片脚立ち上がりテストの可否に関わる要因の再検討
高橋 裕子中川 和昌
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抄録

【はじめに,目的】

スポーツ傷害予防や介護予防の場面において総合的な下肢筋力の指標として用いられることの多い片脚立ち上がりテストについて,下肢筋力以外の要因の影響を検討することを目的とした。

【方法】

対象は,測定時に整形外科系疾患及び中枢神経系疾患を有さず測定が可能であった男子高校サッカー部員79名(年齢:15.8±0.8歳,身長:169.1±5.6cm,体重:59.5±6.1kg)の利き足79脚(右64脚,左15脚)とした。測定項目は,40~10cm台からの片脚立ち上がりテスト,Single leg Triple hop test for distance(以下,THD),下腿傾斜角度,閉眼片脚立位保持時間とした。解析の時点で,片脚立ち上がりテストにて10cm台からの立ち上がりが困難であった対象(以下,困難群)と10cm台からの立ち上がりが可能であった対象(以下,成功群)に群分けを行いその他の項目(THD,下腿傾斜角度,閉眼片脚立位保持時間)について2群間の比較・検討を行った。有意水準は5%とした。

【結果】

全対象79脚のうち,片脚立ち上がりテストにて10cm台からの立ち上がりが可能であった成功群は57脚(72.2%),困難群は22脚(27.8%)となった。困難群22脚の内訳は40cm台まで可能であったのが5脚,30cm台まで可能であったのが8脚,20cm台まで可能であったのが6脚であった。成功群と困難群で他の評価項目の結果を比較すると,THDは成功群(580.7±62.3cm),困難群(522.2±177.7cm)で有意差はなかった。下腿傾斜角度は成功群(47.0±9.3°)が困難群(42.8±7.0°)より有意に大きかった(p<0.01)。閉眼片脚立位保持時間は成功群(33.3±21.2sec)が困難群(18.0±18.6sec)より有意に大きかった(p<0.01)。

【結論】

片脚立ち上がりテストの可否を分ける要素は下肢筋力だけでなく,足関節可動域やバランス能力が影響することが示唆された。運動習慣のある者を対象に片脚立ち上がりテストを行う際,下肢筋力のみの指標として捉えずに足関節の可動性やバランス能力についても併せて評価し傷害予防のためのプログラムを考える必要がある。

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© 2017 日本理学療法士協会
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