理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-TK-05-4
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口述演題
通所リハビリテーションを利用した中等度および重度片麻痺者の歩行速度と下肢伸展筋力の関係
利用開始後1年での検討
宮本 沙季山口 智史松永 玄井上 靖悟近藤 国嗣大高 洋平
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抄録

【はじめに,目的】

脳卒中後の歩行能力の改善に下肢筋力が重要であることが示唆されている(阿部ら,1991)。しかし,その多くが膝関節伸展筋力を計測しているため,膝関節運動が分離可能な軽度の片麻痺者が対象であり,麻痺が重い対象者の歩行速度と下肢筋力の変化を縦断的なデータから検討した報告はない。そこで今回,当通所リハビリテーション(以下,デイケア)を利用し,膝関節運動の分離が困難な中等度および重度片麻痺者に対し,座位でのペダル駆動による下肢伸展筋力を測定し,歩行速度および下肢筋力の変化の関係を検討した。

【方法】

対象は,2007年5月から2014年7月の間に,当デイケアを利用し,以下の基準を満たす脳卒中者28名(女性16名,平均年齢64±12歳)であった。選択基準は,Stroke Impairment Assessment SetにてKnee-Extension Testが2以下,初発片側病変の脳卒中,歩行が監視レベル以上,当施設を1年間利用,研究同意が得られた者とした。除外基準は,下肢に整形外科疾患の既往がある者とした。

評価項目は,歩行速度と下肢伸展筋力とし,利用開始時および12ヶ月後に測定した。歩行速度(m/s)は,16 mの歩行路を最速速度にて2回実施し,その平均値を算出した。下肢伸展筋力は,多機能エルゴメーター(三菱電機エンジニアリング)を用いて,麻痺側および非麻痺側の下肢最大伸展トルクを5回転分測定し,得られた最大値を体重で除した値(Nm/kg)を用いた。

解析には,歩行速度,麻痺側,非麻痺側下肢筋力について,初回と12ヶ月後の差分を用いた。統計には,歩行速度と麻痺側下肢筋力および非麻痺側下肢筋,そして下肢筋力間の変化の関係を明らかにするために,Spearmanの順位相関係数および偏順位相関係数を用いた。有意水準は5%とした。

【結果】

歩行速度の中央値(25%,75%四分位点)は,初回で0.43(0.23,0.63),12ヶ月後は0.52(0.36,0.75)m/sであった。下肢伸展筋力は,初回の麻痺側が0.22(0.08,0.39),非麻痺側は0.52(0.23,0.66),12ヶ月後は麻痺側が0.29(0.23,0.42),非麻痺側は0.48(0.37,0.66)Nm/kgであった。

順位相関係数は,歩行速度の変化との関係は,麻痺側,非麻痺側下肢伸展筋力の順に,r=0.72,r=0.64であり,有意な相関を認めた(p<0.01)。下肢筋力間はr=0.62で有意な相関を認めた(p<0.01)。偏順位相関係数では,非麻痺側下肢伸展筋力を制御変数とした場合,歩行速度と麻痺側下肢伸展筋力の変化において,有意な相関を認めた(r=0.52,p<0.01)。一方,麻痺側下肢伸展筋力を制御変数とした場合には,歩行速度と非麻痺側下肢伸展筋力の変化に有意な相関を認めなかった(r=-0.36,p=0.06)。

【結論】

本研究により,中等度および重度片麻痺者において,歩行能力の変化と麻痺側下肢伸展筋力の変化に関連があることが明らかとなった。

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© 2017 日本理学療法士協会
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