理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-YB-23-3
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Detrended Fluctuation Analysisを用いた歩行と足踏みの違いについて
加藤 太祥真壁 寿岩井 章洋
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抄録

【はじめに,目的】

Hausdorffらは,Detrended Fluctuation Analysis(以下:DFA)を用いて,人間の歩行のストライドインターバルには長期相関があることを初めて報告している。この長期相関は,加齢や疾患を有することで長期相関が低下するとされ,高齢者のフレイル指標として期待されている。しかし,十分な歩行路で5~10分のデータ量が確保できないと正確な評価ができない可能性がある。そこで,歩行と足踏みのステップインターバルの変動の違いを明らかにし,最低必要な評価時間を検討することで,その応用の可能性を探ることを本研究の目的とした。

【方法】

対象は健常成人女性20名。1周20mの8字型歩行路を快適歩行速度で10分間歩行した。快適歩行のケイデンスで10分間足踏みをした。3軸加速度センサー(DELSYS社製Trigno Wireless)をL3に貼付し,Z軸成分のピークからステップインターバルを求めた。1200個のステップインターバルの時系列データから,DFAを用いて短時間領域のスケーリング指数(α1)を算出した。歩行と足踏みのステップインターバルの変動の違いを明らかにするため,10分間の歩行と足踏みのα1を比較した。また最低限必要な歩行と足踏み時間を決定するため,1分間毎にα1を比較した。Shapiro-Wilk検定を用いて正規性を確認した。正規性データには対応のあるt検定と反復測定による分散分析,非正規性データにはWilcoxon検定を用い,多重比較を行った。有意水準は5%とした。

【結果】

10分間の歩行と足踏みのα1において有意差がみられた(歩行時α1=0.58±0.14,足踏み時α1=0.49±0.09)。歩行の1分間毎のα1の比較では,それぞれのα1において有意差がみられなかった。同様に足踏みも有意差がみられなかった。測定時間に関わらず歩行のα1の平均は0.5より大きく,足踏みのα1の平均は0.5より小さかった。

【結論】

歩行のα1の値は,測定時間に関わらず長期相関(0.5<α1<1)を示した。一方,足踏みのα1の値は,反相関(0<α1<0.5)を示した。Philippeらは,メトロノームに合わせて歩行するとより随意的な歩行となり,反相関を示すと報告している。足踏みで反相関を示したのは,同じ位置に止まることを意識したことで随意的な足踏みになり,足踏みがメトロノームと同様の効果が生じたためと考えられる。また歩行と足踏みの1分間毎のα1の比較で有意差がみられなかったことから,どちらも最低1分間のデータでα1を評価できる可能性があると示唆された。今後,高齢者のフレイル指標として応用可能か,歩行と足踏みそれぞれで検討する必要がある。

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© 2017 日本理学療法士協会
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