理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-ED-11-4
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当院における新人理学療法士教育制度について
唄 大輔徳田 光紀山本 和典和田 善行田中 康仁
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抄録

【はじめに,目的】

当院では診療報酬の改訂や回復期病棟の増床に伴い,2016年度は27名の新卒理学療法士(以下,新人)を採用した。新卒採用が増えるなか指導者を担う理学療法士の数が相対的に減少している状況である。当院では昨年度まで新人1名に対して経験年数4年目以上の理学療法士1名が指導するといったプリセプター制度を設けていた。しかしながら,今年度では,経験年数が若い2,3年目の理学療法士が新人を指導するという状況になっており,十分な教育を行えないことが予測される。そこで,経験年数が10年目の理学療法士1名をプリセプターリーダー(以下,リーダー)として設け,新人1名,プリセプター1名の3名で指導する体制を設けた。今回は2016年4月から9月までにおける新人教育制度の現状と課題についてモチベーションに着目して報告する。

【方法】

27名の新人において2か月間1クールと設定し,6グループにランダムに分けた。そして,4月から9月までの3グループ14名を対象とした。経験年数2年目以上のプリセプター1名を各新人に割り当て,経験年数が10年目のリーダー1名が各クールを統括した。当院独自のアンケート用紙を作成し,内容としては,まず1か月間の目標設定を自由に記載するように指示した。また,現在のモチベーションに関しても10段階評価で,数字が高ければモチベーションが高くなるように回答させた。そして,1か月後に自己の目標に対する振り返りを行い,達成できなかったことに対する改善点を記載させた。更には,先輩に対しての希望事項,モチベーション評価も併せて回答するように指示した。その時点においてプリセプターとリーダーとの面談を行い,それぞれから1か月間における新人の行動や振る舞いについてフィードバックを行った。自己フィードバック,先輩からのフィードバックをもとに,2か月目の目標設定を行い,そして,2か月後に総振り返りを1か月後と同様に行った。そして,最初の1か月間,1か月後,2か月後の振り返りにおけるモチベーションの変化を追跡した。

【結果】

最初の1か月間におけるモチベーションは8±1であり,1か月後では8.1±1.1,そして2か月後においては8.7±0.8であった。全例においてモチベーションが向上する結果となり,また自由回答では理学療法士としての知識,技術を高めたいといった回答が多く,意識の向上を図ることができた。

【結論】

今年度から新人教育の充実を図るために新人・プリセプター・リーダーの3名体制を設けた。昨年度までと異なり,アンケート用紙を作成し自己フィードバックを行うことができ,更に月1回のリーダーとの面談を行うことが明確な目標設定に繋がったためモチベーションの向上がみられたと考えられる。しかしながら,時期の違いによる比較を行えておらず,業務に対する慣れなどといった因子を除外できていない。また,適切な指導が行えるプリセプターを養成することも今後検討が必要である。

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© 2017 日本理学療法士協会
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