理学療法学Supplement
Vol.48 Suppl. No.1 (第55回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-27
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第9回日本支援工学理学療法学会学術大会 教育講演
生活に合わせた車椅子の調整と評価
杉山 真理
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抄録

 補装具は障害者総合支援法にて「身体機能を補完し,又は代替し,かつ,その身体への適合を図るように製作されたもの,日常生活において就労若しくは就学のために,長期間にわたり継続して使用されるもの,医師等による専門的な知識に基づく意見又は診断に基づき使用されることが必要なもの」と定義されている(一部抜粋)。補装具には装具・義足はもとより車椅子も含まれ,それらの共通点は使用者の身体機能および日常生活を評価し,その評価に基づいて作製する必要があるということである。

 車椅子を作製・選択する場合は「生活に合わせる」,「身体機能にあわせて車椅子を調整する」という視点が必要である。生活の評価では,動作の方法・自立度・介助方法,使用している福祉用具・使用環境,ライフスタイルを確認する。起床時から就寝中まで,24時間切れ間なく評価することが重要である。身体機能面では,座位保持能力・身体寸法・関節可動域(変形の評価を含む)を評価する。関節可動域は,車椅子の背もたれ角度やフットプレートの位置を決める重要な因子となるため,単なる測定ではなく,車椅子座位姿勢を考慮しながら行うことが重要である。本教育講演にて具体的な測定方法と車椅子座位姿勢への影響を述べる。

 適合された車椅子の使用により様々な効果が期待できる。褥瘡や変形などの二次的な合併症の予防,日常生活活動の自立度の向上,さらに,就労や就学等の社会的な活動への参加促進などである。リハビリテーションの理念に立ち返り,生活・人生を支える道具としての車椅子のあり方,専門職としての理学療法士の役割について考えてみたい。

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