抄録
本研究は、東南アジア出身の外国人材を活用する中小製造業7社を対象とした事例研究により、「外国人材受入れ・育成→母国の現地法人→日本国内へ再配置→現地法人へ逆還流」という形で、日本で受入れ育成した外国人材が日本と母国を行き来する循環型人材モデルにより、外国人材受け入れが包括的経営戦略へ昇華したケースを提示するものである。調査対象企業は、技能実習制度を起点として外国人材を受け入れ、特定技能や技術・人文・国際業務ビザへの移行を通じて正社員として育成するとともに、海外現地法人の幹部として登用したり、さらに国内に再配置したりするという循環構造を構築していた。この循環モデルは、企業内部の多文化共生環境の形成(内なる国際化)と海外展開の促進(外への国際化)を同時に実現し、単なる労働力確保を超えた戦略的人材活用として機能する。外国人材の長期定着は地域経済の雇用維持、多文化共生の推進、国際ネットワークの構築にも寄与している。こうした発見を元に本研究は、外国人材が日本と母国を行き来してキャリア構築する、この循環型人材モデルを、中小製造業の持続可能な成長、国際競争力の獲得、地域社会との共生という効果を持つ包括的経営戦略として提示する。