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魚食文化の地域性の研究
岩永 洋平
2025 年23 巻 p.
1-10
発行日: 2025/12/01
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
地域の文化はどのように自然環境に規定され、同時に人の主体性によって創造されているか。サケを中心とした魚食文化において検討した。魚種消費データの分析では列島の魚食文化地図といえるグラフと、地域の魚種の消費量をよく説明する消費構造モデル式が得られ、食文化の自然環境に適応する側面が示唆された。一方でモデルの予測値と観測値の乖離から、自然条件を超えた要因で形成されたと捉えられる地域の食文化を見出した。新潟・村上のサケの食文化は、単に環境の反映ではなく、代々の住民の主体的な意思と行動によって地域の資源として創造されていた。また資源にかかわる地域主体の意思的な営為の表明は、域外消費者の共感を喚起して持続的な関係の形成が期待できると考えられた。
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愛媛県におけるハブ・アンド・スポーク型地域構造の可能性
大久保 武
2025 年23 巻 p.
11-20
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、愛媛県旧70市町村を対象に、将来人口推計(コーホート変化率法)と階層クラスター分析を用いて地域ごとの人口動態を定量的に分析し、動態的特徴に基づいた圏域モデルの構築を試みた。その結果、愛媛県内全域を6つの「ハブ・アンド・スポーク型圏域」と2つの周辺類型(縮充型地域社会を志向する地域群・縮退可能性地域群)に分類し、それぞれに応じた政策の方向を考察した。従来の行政区域にとらわれず、人口構成や若年層の流動性、老年化の進行度などの実態を踏まえた広域・機能的圏域構築の枠組みを提示し、持続可能な地域設計に向けた具体的な政策基盤を提供する点に、本研究の学術的および実務的意義がある。
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―中堅看護師がへき地派遣を選択する動機とは何か―
長田 律子
2025 年23 巻 p.
21-30
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本稿は、へき地派遣看護師を「移住者」と捉え、中堅看護師がへき地を選択する動機とその変容過程を検討した。へき地派遣看護師14名のうち、中堅看護師7名の語りを質的に分析し、Scott/今野の移住類型とVFIモデルを参照した。結果、へき地派遣看護師はキャリア・パス志向、ライフスタイル志向、利他的動機の3つを併せ持ち、これらが往還的に変化しながら派遣決定に至ることが明らかになった。とくに「海外派遣の妥協策」や「自己の存在価値の確認」といったプロセスが、リスク認識下での選択を支えていた。こうした複合的動機の理解は、へき地医療における人材確保・定着支援策の検討に示唆を与えると考える。
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岩谷堂箪笥「くらしな」シリーズの事例
阿部 和美
2025 年23 巻 p.
31-39
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、伝統的工芸品の衰退が進む中、外部デザイナーとの継続的な協働により自律的な商品開発と販売を実現した岩谷堂箪笥「岩谷堂くらしな」シリーズに注目する。2007年に国のマッチング事業を契機に始まった本シリーズは、金具や漆塗りといった伝統意匠を活かしつつ、現代生活に適応する小物や家具として展開され、18年にわたり安定した売上を維持している。オートエスノグラフィーによりその過程を記述・分析し、文化の再文脈化の視点から、伝統的工芸品の再生と持続可能な振興の可能性を探る。
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岩佐 大輝, 那須 清吾
2025 年23 巻 p.
41-50
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
日本の農業は、近年深刻な衰退の兆候を示している。様々な要因の中でも、生産性向上が十分に進められてこなかったことは大きな課題の1つになっている。この現状を打破するために、農業経営体は技術の向上と知識伝承の課題を解決する必要がある。本研究では、経営的成功に至る農業経営体の事例をもとに、農業においてもSECIモデルによるナレッジマネジメントが有効であることを確認した。さらに従来の農業の技術進化を阻害する環境要因を克服する手段として、とりわけ組織の在り方、具体的にはセンター研究開発機能と農家群の組織化とその進化をあげ、主体の異なる組織間で相利共生的な関係が構築されることで効率的な知の伝承が実現されているメカニズムを明らかにした。
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― コミュニティ基盤と活動運営の両視点から検証 ―
樫本 凱斗
2025 年23 巻 p.
51-60
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、NPOの持続的な活動運営と地域コミュニティの形成・活性化を両立させるワークショップ参加費の適正価格帯を、PSM(Price Sensitivity Meter)分析を用いて明らかにするものである。調査対象は、海洋ゴミを活用したボールペン作りワークショップであり、体験前後のアンケートを通じて価格感度の変化を測定した。分析の結果、493~578円がビギナーとリピーター双方に受容される価格帯であることが判明した。また、顧客満足度および再参加意欲の向上には、スタッフの支援が重要で、参加者同士の交流を高める仲介機能としての役割を果たしていることが示された。本研究は、NPOの活動基盤強化に向けた収益モデル構築の一助となる実証的知見を提供する。
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杉山 智行
2025 年23 巻 p.
61-70
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
中心市街地の活性化に向けた取組は、にぎわいの創出や商店街振興、定住促進、起業支援等多岐にわたるが、それらの施策において経済・産業構造の把握と分析が十分に行われていないことが課題である。本稿では、中心市街地研究における経済学的アプローチを検証するとともに、中心市街地振興における特小地域産業連関表作成の有用性を明らかにし、産業連関分析等を用いた経済構造の定量的把握に基づいた政策立案の可能性を示すものとする。
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―中小製造業における海外進出と地域経済への貢献―
清宮 克良, 姜 理惠
2025 年23 巻 p.
71-79
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、東南アジア出身の外国人材を活用する中小製造業7社を対象とした事例研究により、「外国人材受入れ・育成→母国の現地法人→日本国内へ再配置→現地法人へ逆還流」という形で、日本で受入れ育成した外国人材が日本と母国を行き来する循環型人材モデルにより、外国人材受け入れが包括的経営戦略へ昇華したケースを提示するものである。調査対象企業は、技能実習制度を起点として外国人材を受け入れ、特定技能や技術・人文・国際業務ビザへの移行を通じて正社員として育成するとともに、海外現地法人の幹部として登用したり、さらに国内に再配置したりするという循環構造を構築していた。この循環モデルは、企業内部の多文化共生環境の形成(内なる国際化)と海外展開の促進(外への国際化)を同時に実現し、単なる労働力確保を超えた戦略的人材活用として機能する。外国人材の長期定着は地域経済の雇用維持、多文化共生の推進、国際ネットワークの構築にも寄与している。こうした発見を元に本研究は、外国人材が日本と母国を行き来してキャリア構築する、この循環型人材モデルを、中小製造業の持続可能な成長、国際競争力の獲得、地域社会との共生という効果を持つ包括的経営戦略として提示する。
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― 飛騨古川地域におけるまちあるきイベントの事例に基づいて ―
関口 達也, 田路 達也, 杉野 弘明
2025 年23 巻 p.
81-90
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究では、「地域らしさ」とは何か?という問いに対し、ボトムアップ的なイベントで得られた客観データに基づく分析・検討を行う。現在のまちに見られる「地域らしさ」の要素を発見するまちあるきを通して得られたデータやヒアリングを通して、1)「地域らしさ」の要素として「何が」、「なぜ」地域らしいものと認識されるのか、また、そう認識される理由の整理・把握、さらに2)イベントを通した参加者の地域に対する意識・想いの変化の分析を行った。そこから、地域住民や関係人口とも連携して地域らしさやその要素の保全・創出に向けた地域づくりのための知見を得ることを目的とした。
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―東北地方の自治体を対象として―
森谷 健太, 高橋 信人, 徳永 幸之, 蒔苗 耕司
2025 年23 巻 p.
91-100
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
地域公共交通計画では自治体規模や高齢化率等の状況に応じた適切な目標設定が求められるが、現状では自治体職員のマンパワー不足等により先行事例に類似した目標となっていることが懸念される。そこで本研究では、自治体の特徴に応じた目標設定の現状と課題を明らかにすることを目的として、地域公共交通計画を策定している東北地方の59自治体を対象に、目標設定状況並びに人口や職員数等の自治体データを収集・整理した。また、自治体データに基づき自治体を3群に分類し、自治体群別の目標設定状況の特徴について分析・考察した。その結果、高齢化率の高い人口3万人未満自治体では将来人口減少を踏まえた目標設定が必要であることを示した。
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優位性獲得と成長メカニズムの解明
山本 樹育, 那須 清吾
2025 年23 巻 p.
101-110
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
地方エコシステムには多様な中小企業が存在する。本研究では、成長する中小企業が保有する経営資源、企業特性及び経営戦略の観点から、その成長メカニズムの一般論化を行った。成長する中小企業がその過程で地方エコシステムの組織との共同戦略や経営資源の交換を行い、どういう経営戦略をとることによって、不利な変数を有利に変換し、地方のエコシステムと共に進化したのかについて、そのプロセスとメカニズムを明らかにした。さらに、獲得した経営資源によってどのような経営戦略が遂行され、それが企業特性変数の変化と成長へとつながるのか、全国の製造設備産業の中小企業を対象とする分析を行うことによって、成長モデルを導き出した。
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黒田 哲夫
2025 年23 巻 p.
111-120
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は「対話による社会関係資本の強化が、住民主体の子育て支援活動を発足・継続させる」という仮説をX地区の子育て支援活動を事例に検証するものである。研究方法は、主要メンバーへの参与観察で得た質的データをSCATの結果により各々の特性を明らかにし、「住民主体の地域づくりに関する4段階の発展段階モデル」を援用し活動の継続性を検証した。結果、ワークショップ導入による「対話の土壌」を基盤に個人の課題意識が共有され、多様な住民が協働するプロセスが社会関係資本を強化し、活動が発芽・成長・開花・結実へと発展するメカニズムを明らかにした。結論は普通の住民が対話を通じて主体的に協働することが活動継続の鍵であるとした。
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小池 博, 岩瀬 敦智, 都丸 孝之
2025 年23 巻 p.
121-129
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、営業利益が赤字の不調農業経営者が黒字の優良農業経営者に至る主要な心理的要因を明らかにすることを目的とした。不調・優良双方への非構造化インタビューを踏まえ、優良農業経営者への半構造化インタビューをM-GTAで分析した結果、「先が見えない状態」からの脱却に寄与する「特性的自己効力感」が主要因として抽出された。加えて、農業従事者へのアンケート調査では、50代以下の専業農業経営者でその傾向が顕著に見られた。さらに、就農前の知見の獲得や目標設定による経営意識の醸成が重要であることが示唆された。
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戸田 江里子, 姜 理惠
2025 年23 巻 p.
131-139
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究では、地方都市で実施されたマイクロビジネスを志向する女性の起業家育成支援プログラムの一環として開催された体験型イベントに着目し、写真KJ法とプログラム参加者への半構造化インタビューのテーマ分析を統合し、支援が地域活性化に至る過程を検討した。結果、プログラムのメンター伴走とサークル伴走が相互作用し、社会資本を媒介して主体的行動と事業創造を促進する循環モデルを示した。座学中心の従来支援に対し、本研究は伴走サークル型支援の機能分化と効果を経験的に可視化、マイクロビジネス志向の女性への地域活性化に資する教育設計の一例を提示した。
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~香川県の事例より~
長尾 敦史, 那須 清吾
2025 年23 巻 p.
141-150
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
既存のビジネス・エコシステム研究は企業中心の視点が多く、ビジネス経験の乏しい住民が主体となる地域での事業創出プロセスは十分に説明されていない。本研究は、香川県の3つの地域を対象に、地域運営組織(RMO)がコミュニティビジネスを創出するプロセスを分析する。特に、住民やリーダーの「意識」の変化、SECIモデルによる集団的な「知識」創造、そして資源依存理論に基づく「組織間関係」の変容という3つの要素に着目し、これらを統合した独自の多段階モデルを提案する。事例分析から、RMOが調整役から「実行部隊」へと変容する内的変革プロセスが、エコシステム構築の鍵であることが明らかになった。本稿は、ボトムアップ型の地域ビジネス創出メカニズムを理論的に解明し、地域活性化の実践に新たな視座を提供する。
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-島根県山間集落の植栽活動を事例として-
保永 展利
2025 年23 巻 p.
151-160
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、中山間地域の農業集落で関係人口を取り入れて展開されている農地保全活動の成立要因を明らかにすることを目的とした。島根県の中山間地域で水田の畦畔への植栽によって農地保全に取り組む農業集落を対象に実態調査を行い、そのデータをもとに、農業集落において農地保全活動を成り立たせている要因を定性的に分析した。その結果、農地保全の便益として、個別の作業負担の軽減以外に「集落外の人々との交流」「住民間の関係性向上」「新規定住」などの複数の社会的便益が存在していること、中山間地域等直接支払制度の第5期対策に対応して保全方法を見直したことが関係人口を含めた農地保全活動の展開に関連していること、他出者やUターン者が関係人口の獲得に貢献していること、住民が関係人口の受け入れ環境の変化に柔軟に対応できたこと、関係人口からIターン定住した者が活動のサポート役として貢献していることが明らかになった。
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―三重県のフィルムコミッションを事例として―
渡辺 敏明
2025 年23 巻 p.
161-169
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究の目的は、コンテンツツーリズムにおけるフィルムコミッションの役割を景観論の枠組みに基づいて考察することである。対象は三重県内のフィルムコミッションであり、Web調査と聞き取り調査を通じて、その役割を検討した。調査の結果、映画やテレビドラマの撮影を契機として外部者の視線が導入されることで、地域住民が看過してきた日常的景観が新たな観光資源として再評価されうることが確認された。また、作品に付随する物語性やテーマ性は景観の価値を重層化し、観光的・文化的資源としての意義を高めることが明らかとなった。これらの過程において、フィルムコミッションは単なる撮影支援機関ではなく、地域景観と外部者のまなざしを媒介する装置として機能しており、持続可能なコンテンツツーリズムを実現する地域資源マネジメントの主体として位置づけられる。
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今川 隆, 鵜飼 宏成
2025 年23 巻 p.
171-180
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
BCP策定を阻害または加速する要因に関する先行研究は、調査主体間の結果のばらつきが顕著である、設問が大くくりで真因が不明瞭である、包括的に調査されておらず各要因の相対的影響度が把握しきれていない、という課題があった。本研究では、可能な限り多数の項目を同一テーブル・尺度にて相対評価し、BCP策定済みと未策定の群間で有意差がある要因として「学習や心構え」に該当する要因を、ない要因として「人材や時間などの不足」といった要因を、統計的に示した。設問の工夫と細分化により、「災害リスク教育以上にBCP教育が有効である」「資料作成力と教育企画力の伴走支援が有効である」といった加速施策に活かしうる知見を導出した。
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~三重県鳥羽市での実証実験から~
海野 麻恵
2025 年23 巻 p.
181-190
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
日本政府は2023年に観光立国の実現に関する基本的な計画として新たな観光立国推進基本計画を閣議決定し、持続可能な観光地域づくり戦略、国内交流拡大戦略、インバウンド回復戦略に取り組むことを掲げている 1。日本人観光客の動向に着目すると近年は個人で実施する観光旅行の割合が増加しているが、一般的な個人旅行の旅ナカにおいてどれ程訪問地の人と交流しているか、また、訪問者がどれ程地域愛着を深めることが出来るのかに関する先行研究は乏しい。そこで、本研究ではこれらの課題を解決するための手法の一案として『旅の質問ノート』を活用した実証実験を行った。その結果を報告するとともに実用化に向けた展望についても考察する。
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-地方の宿泊業経営者3名に対する聞き取り調査からの仮説の提示-
大野 富彦
2025 年23 巻 p.
191-200
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
観光人材において、宿泊業をはじめとする経営層は「観光産業人材」であるとともに「観光地経営人材」の役割を果たすことも期待されている。そこで本研究は、この両者の役割を果たしている宿泊業経営者を「先進的観光人材」と捉え、彼らの行動をもとに考察するものである。本研究では、3名の「先進的観光人材」に対する聞き取り調査から得られた情報を整理して「観光人材の行動モデル」(仮説)を示し、その妥当性を「成長の経済性」の点から評価した。そして「つながり」の概念をもとに観光人材育成の1つの方策を示した。この方策は、「成長の経済性」を享受するためにも「強いつながり」を活用するものである。
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~和歌山県みなべ町を事例として~
大和田 順子
2025 年23 巻 p.
201-206
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本報告は、和歌山県みなべ町における梅剪定枝のバイオ炭化に関する調査・研究について報告するものである。バイオ炭は炭素の長期固定を通じて気候変動対策に寄与し、土壌改良や未利用資源の活用としても期待されている。同町では2024年、SDGs未来都市に選定されたことを契機に中型の炭化炉を導入し、梅の剪定枝を活用したバイオ炭の製造に着手した。また、2025年2月、梅農家を対象とした梅剪定枝を活用したバイオ炭に関する受容性調査を実施し、約6割がバイオ炭に肯定的意見を示し、4割以上が仕組みへの参加意向を有することが明らかとなった。今後はバイオ炭のJ-クレジット化や用途開発、ブランド化などを通じた地域活性化策のモデル構築を目指す。
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― 福山デニムと福山のばらの商品化・イベント参加による認知度向上 ―
岡﨑 暢寿
2025 年23 巻 p.
207-216
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
近年、高校生と地元企業が連携し、地域活性化を目的とした商品開発を行う事例が増加している。本研究では、福山市の地域資源である福山デニムと福山のばらを活用し、高校生が企業や自治体と協働して実施した探究活動の事例を報告する。具体的には、地元企業へのインターンシップを通じた商品開発、高校生による販売活動、地域イベントに参加した際の活動など、高校生が主体的に関わった取り組みを紹介する。これらの活動を通じて、高校生が地域の産業や文化への理解を深めるとともに、地域課題に向き合う実践的な経験を積むことができた。また、企業や自治体との協働を通じて、高校生のアイデアが地域社会に与える影響についても示唆された。本研究では、高校生の探究活動を地域活性化の一手法として位置づけ、これまでの活動内容を報告するとともに、今後の展望について考察する。
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―新潟県村上市および山形県鮭川村を事例として―
小野 英一
2025 年23 巻 p.
217-226
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本稿では、鮭を活かした地域活性化の取り組みとして、新潟県村上市および山形県鮭川村の事例を取り上げ、事例報告を行う。村上市および鮭川村では、これまで鮭を活かした様々な地域活性化の取り組みを行ってきている。本稿ではこれらの取り組みについて調査・整理・記述し、考察を加える。そして、今後の取り組みの課題と研究課題について述べる。
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-ルーキー・オブ・ザ・イヤーin LOCALの実践から-
掛川 遥香, 内田 真央, 今永 典秀
2025 年23 巻 p.
227-236
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、地域中小企業における若手人材の育成と定着支援を目的とした表彰制度「ルーキー・オブ・ザ・イヤー in LOCAL」の実践を取り上げ、参加者7名への半構造化インタビューを通じて、表彰のコンセプトと特徴の分析を行い、多面的な効果と課題を明らかにした。若手にとって制度は、自己の成長や強みを再認識し、外部から承認される機会となり、キャリアの自律や地域への定着意識を高める契機となっていた。また、企業側も推薦プロセスを通じて育成観の可視化や再定義を行い、企業を超えて採用や育成などの人事領域での学び合いが促進されていた。本制度は、単なる表彰ではなく、地域横断的な社会的な仕組みとしての可能性を有している。
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片岡 隆史, 中野 健太郎, 永井 祐二
2025 年23 巻 p.
237-246
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
過疎高齢化の進む地域では、大都市に住む若い住民の移住・定住や交流による地域活性化の取り組みが進められている。そこで、我々は地域と大学が連携して、地域を題材とした活動を展開する域学連携に着目し、これによる地域と都市との新しい関係性構築を検討してきた。本報告では、資源循環及びその人的ネットワークへの学びが、若者の移住・定住の促進や、学習の質向上に資するという仮説を設定し、これを検討する。具体的には、山形県小国町において、資源循環をテーマにした合宿を実施し、学生の理解度や地域に対する関心の向上を分析する。さらに、これらに同地域の移住者へのヒアリングを併せて、若者の地域に対するマインドを考察する。
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澤邉 潤
2025 年23 巻 p.
247-256
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究では、新潟県長岡市で実施された地域振興プロジェクトを対象に、大学生と地域企業の協働による体験コンテンツの開発プロセス、実践事例を報告した。イベント参加者、学生、地域企業関係者へのアンケート調査の結果、関係者間の交流が学生の地域資源に対する学びを深める機会となったことが明らかになった。また、地域企業間のコミュニケーションの促進にも寄与していた。これらの結果から、本実践はサービス・ラーニングの枠組みにおいて有効な教育資源となる可能性が示唆された。今後は、学生が段階的に地域と関わりを継続できる柔軟な仕組みの構築が求められる。
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長崎県長崎市住吉中園商店街の事例
昔 宣希
2025 年23 巻 p.
257-266
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
現代社会において、人口減少や少子高齢化といった問題を背景に衰退が指摘される「商店街」だが、地域のコミュニティとして不可欠であり、商店街は地域活性化の拠点として重要な存在である。本研究では、長崎大学文教キャンパスから徒歩圏内(約15分)に位置する長崎住吉中園商店街を対象とし、事業主と若手ショッピング客を対象にアンケート調査を実施した。調査では、地域コミュニティ支援機能を備えた複合型商店街であることから、地域住民が求める多様なニーズを把握し、商店街の直面している問題について、事業主や若手買い物客(商店街内部と外部)の意見の乖離を明らかにした。これらの結果を踏まえ、商店街の持続可能な発展方策について検討した。
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高橋 雅憲
2025 年23 巻 p.
267-275
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
能登半島地震は能登地域に甚大な被害をもたらし,インフラの復旧には今なお時間がかる.しかしながら能登地域における復興を進めるには,インフラの復旧のみならず,生活環境の整備,地域経済の再生,雇用創出,住民の帰還促進等を含めて様々な課題の検討が必要である.そのためには長期的な取り組みとビジョンが必要であるが,現時点で策定された復興計画を通して各市町の考え方と方向性を分析する.そして,復興の課題となるポイントを探り,今後の復興に向けた課題と一考察を述べる.
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―企業連携による協働的プロジェクト学習の質的検討―
髙濱 優子
2025 年23 巻 p.
277-284
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、協働型プロジェクト学習において学生が経験する「内的変容」と「実践的戦略思考」の形成過程を明らかにすることを目的とし、授業実践に基づいて質的帰納的分析法を適用した。自由記述データの分析により、「他者との関わりを通じた自己変容」や「試行錯誤を通じた自己見直し」、「感情的充足感と納得感」などの内的変容に加え、「行動の工夫と調整」や「表現の洗練と伝達意識の向上」といった実践的戦略思考の発達が確認された。これらの変容は、知識の獲得にとどまらず、協働的な学びの中で実践的戦略思考を深化させ、自己を再定義し、課題解決能力を高めていく過程を描き出しており、協働型プロジェクト学習の教育的意義を示唆している。
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武山 健史
2025 年23 巻 p.
285-292
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
「食は頭で食べ、目で食べ、口で味わう」と言われるように、食の消費拡大には、まずは頭で食べたいと思わせる「食の名前」を認知させることが重要である。本研究では、食の中でもお酒の肴である酒の『あて』の一般名称化に着目し、認知過程において特色のある地域やメーカーにインタビュー調査をした。伝承型は地域の歴史や文化に根ざした要素を示し、メディア型は広範な認知と消費者への影響を及ぼし、流通メーカー型は食文化の物理的普及を担っている。それぞれのパターンが異なるアプローチで名称の一般化に寄与しており、これらの組み合わせが酒の『あて』の認知過程や発展にとって不可欠であることが立証された。
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~兵庫県豊岡市での地域おこし協力隊OBOGの事例から~
谷口 彰一
2025 年23 巻 p.
293-301
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
近年、地域貢献やコミュニティー志向の起業がよくみられる。故郷や住み慣れた土地などで起業する場合も多く、地域で活動する起業家も例外ではない。しかし、創業地を選択する際の影響要因や関係性、さらには、その決定時期など肝心なところが見えてこない。そこで、ふるさと起業家における創業地の選択にかかわる意思決定とその決定時期について、地域おこし協力隊OBOGで起業した事例から検討及び分析し、考察した。結果として、ふるさと起業家は自身の経験則と照らして空間的・文化的に距離感のある地域で活動せず、一定の親和性がある地域を創業地として選ぶ傾向があり、その意思決定の時期は創業地となる地域に入る以前の段階から行われることが判明した。
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-山口県阿武町を事例として-
辻 紳一
2025 年23 巻 p.
303-312
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
近年、道の駅では地域と一体で戦略的に連携してコンセプトの実現を成し遂げる取り組み(第3ステージ)が求められつつある。また、道の駅は1993年の制度創設から全国1230カ所(2025年6月現在)まで拡大しているが、既に30年以上が経過し、リニューアルのニーズも高まっている。山口県阿武町に位置する道の駅「阿武町」は発祥の地と言われ、1992年4月に直売所が完成してから約30年以上が経過する第1回登録の道の駅である。2014年に施設の再整備などのリニューアルを経て、2022年にはABUキャンプフィールドの開業など、拡大を続けている。本研究では、道の駅と自治体との戦略的連携に着目して、山口県阿武町が進める取組内容の分析と考察を試みた。自治体の中長期計画に反映するための準備期間の年数を明らかにできたこと、地域を巻き込んだ活動の早めの着手は地元主体の持続的な活動に繋がりやすいこと、道の駅の売上増加や中長期計画における関係人口の増加が示唆され、第3ステージに向けた道の駅の取組方法の参考になるものと考えている。
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~社会人基礎力による自己評価を活用する学内実習のカリキュラム開発~
福田 稔, 澤邉 潤
2025 年23 巻 p.
313-322
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、専門職大学における学内実習「会社設立実習Ⅱ」の実践と評価を通して、臨地実務実習に接続する学内実習のカリキュラム開発の有効性を検証する。プログラム開発において、コルブの経験学習理論を基底として、社会人基礎力を活用した自己評価を導入した。実践ではビジネスゲームやプロトタイピング、金融機関へのプレゼン等を取り入れ、学生の主体性・課題発見力・想像力・傾聴力等の伸長が見られた。理論と実践の往還、段階的教育設計、外部連携を通じた内発的動機づけの重要性を明らかにする。実習科目の教育方法開発における理論・実践の往還としても広く地域活性人材の育成に資する知見となる可能性がある。
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群馬県太田市の国際的な教育政策による地域活性化
藤田 侑平
2025 年23 巻 p.
323-332
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
2005年、群馬県太田市は構造改革特区を活用し、公設民営方式で学校法人太田国際学園ぐんま国際アカデミーを設立する「太田市外国語教育特区構想」を実現した。目的は従来制度では困難であった英語教育改革を進め、実践的英語教育と国際的人材育成を通じて地域価値を高めることであった。設立すぐに教育的成果が現れることはなかったが設立20年を経て児童生徒の高い英語力や学力が各種指標で確認され、国際的人材となる日本人の育成という顕著な成果が示されている。その結果、太田市は教育を軸とした地域ブランドを確立し、教育目的の移住者増加による地域活性化を実現した。本事例は、教育を地域価値の中核に据える戦略の有効性を示しており、今後は教育成果を地域経済や社会全体に波及させる持続的仕組みづくりが課題となる。
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-北海道石狩市厚田区における「みんなの居場所 あつみん」の開設と運営-
堀田 ゆりあ, 小林 重人
2025 年23 巻 p.
333-342
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
ジャーナル
認証あり
本研究は、よそ者が人材や資源の乏しい地域とどのように協働すれば「子どもの居場所づくり」に寄与できるのかを明らかにするものである。北海道石狩市厚田区を対象に、地域の実態調査、居場所の開設・運営、実施後のインタビュー調査を実施した。その結果、1)遊び場や移動手段の不足から、遊びの機会が限られていること、2)よそ者が地域との心理的距離に応じて異なる「段階」を持ち、段階に応じた関わり方が有効であること、3)よそ者と保護者の協働によって、行政や地域組織も巻き込む地域ぐるみの支援体制が生まれたことが明らかになった。今後は、よそ者が地域の主体性を支え、居場所が関係者の自己実現の場となるような協働が求められる。
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