2009 年 34 巻 1 号 p. 1-7
22q11.2欠失症候群児の鼻咽腔閉鎖機能不全に対する初回手術として,咽頭弁形成術を施行した症例の,術後成績を左右する要因について,鼻咽腔閉鎖機能の改善および発話の改善の2点から検討した。
対象および方法:粘膜下口蓋裂9例,先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症16例であった。このうち鼻咽腔閉鎖機能(以下VPと略す)改善群は19例,VP非改善群は6例であった。また発話改善群は9例,発話非改善群は16例であった。これらそれぞれ2群間の手術年齢,知能,心疾患の有無,合併症の数,定頸,始歩,始語,術前に鼻孔を閉鎖して破裂音を産生することが可能であったか否か,について検討した。
結論:鼻咽腔閉鎖機能の改善群・非改善群には各項目で統計的有意差は見出せなかった。しかし発話の改善については,知能,合併症の数,定頸月齢,術前に鼻孔を閉鎖して破裂音が産生可能であったか否か,などの項目で統計的有意差を認めた。咽頭弁形成術後の予後に,これらの要因が影響している可能性が示唆された。