【目的】片側性口唇口蓋裂児を対象としてHotz 型哺乳床を用いた術前鼻口唇誘導法(Pre-Surgical Naso-Labial preparation with Hotz,以下Hotz 床を用いたPNLP 治療)後の外鼻形態の変化について,5歳時における治療効果を明らかにし,治療効果に影響を与える因子を検討することである。
【対象と方法】対象は新潟大学医歯学総合病院にて口唇形成術を施行した片側性口唇口蓋裂19 例とし,Hotz 床を用いたPNLP治療を行った12 例(男児7例,女児5例)をPNLP 群,Hotz 床のみを用いた7 例(男児3例,女児4例)をHotz 群とした。さらにPNLP 群のうち治療効果が良好な上位6 例を上位群,良好ではない下位6 例を下位群とした。資料は初診時と鼻修正術前の顔面写真とし,8つの計測項目を設定して両群の平均値を算出し統計学的に比較検討した。
【結果】PNLP 群はHotz 群と比較して,距離や角度からなる計測項目では両群間で有意差は認めなかった。これに対して,外鼻の面積比率においては,Hotz 群と比較してPNLP 群は有意に小さな値を示し,良好な対称性が獲得されていた。治療効果に影響を与える因子として,鼻尖傾斜角と鼻柱偏位角の差については,下位群と比較し,上位群が有意に小さく,初診時の鼻尖と鼻柱基部のずれの大きさがHotz 床を用いたPNLP 治療における外鼻形態の対称性の改善に影響することが示唆された。
【考察】面積比率で評価した外鼻の対称性については,距離や角度では捉えられなかった変化で,改善効果が5 歳時点まで維持されることを示唆している。一方で,初診時における鼻尖と鼻柱基部のずれが大きな症例では,口唇形成術前の治療期間だけでは外鼻の偏位改善と対称性の維持が困難である可能性が示唆され,Hotz 床を用いたPNLP 治療と口唇形成術の両面から対称性の改善を目指す必要があると考えられた。
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