日本口蓋裂学会雑誌
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原著
  • 寺田 愛希, 市川 佳弥, 丹原 惇, 宮田 昌幸, 若槻 華子, 新美 奏恵, 児玉 泰光, 齋藤 功
    原稿種別: 原著
    2026 年51 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり
     【目的】片側性口唇口蓋裂児を対象としてHotz 型哺乳床を用いた術前鼻口唇誘導法(Pre-Surgical Naso-Labial preparation with Hotz,以下Hotz 床を用いたPNLP 治療)後の外鼻形態の変化について,5歳時における治療効果を明らかにし,治療効果に影響を与える因子を検討することである。

    【対象と方法】対象は新潟大学医歯学総合病院にて口唇形成術を施行した片側性口唇口蓋裂19 例とし,Hotz 床を用いたPNLP治療を行った12 例(男児7例,女児5例)をPNLP 群,Hotz 床のみを用いた7 例(男児3例,女児4例)をHotz 群とした。さらにPNLP 群のうち治療効果が良好な上位6 例を上位群,良好ではない下位6 例を下位群とした。資料は初診時と鼻修正術前の顔面写真とし,8つの計測項目を設定して両群の平均値を算出し統計学的に比較検討した。

    【結果】PNLP 群はHotz 群と比較して,距離や角度からなる計測項目では両群間で有意差は認めなかった。これに対して,外鼻の面積比率においては,Hotz 群と比較してPNLP 群は有意に小さな値を示し,良好な対称性が獲得されていた。治療効果に影響を与える因子として,鼻尖傾斜角と鼻柱偏位角の差については,下位群と比較し,上位群が有意に小さく,初診時の鼻尖と鼻柱基部のずれの大きさがHotz 床を用いたPNLP 治療における外鼻形態の対称性の改善に影響することが示唆された。

    【考察】面積比率で評価した外鼻の対称性については,距離や角度では捉えられなかった変化で,改善効果が5 歳時点まで維持されることを示唆している。一方で,初診時における鼻尖と鼻柱基部のずれが大きな症例では,口唇形成術前の治療期間だけでは外鼻の偏位改善と対称性の維持が困難である可能性が示唆され,Hotz 床を用いたPNLP 治療と口唇形成術の両面から対称性の改善を目指す必要があると考えられた。

  • 秋月 文子, 安 逸菲, 大久保 文雄, 門松 香一
    原稿種別: 原著
    2026 年51 巻1 号 p. 12-21
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    [早期公開] 公開日: 2026/02/13
    ジャーナル 認証あり
     

     <目的>本研究では,片側完全口唇口蓋裂患者の初回口唇口蓋手術時にアルジネート印象材を用いて印象採得し作製した石膏模型(Model群)と口腔内スキャナーを用いた光学印象により得られた画像(Scan群)を比較検討した。

     <対象資料と方法>昭和大学藤が丘病院で2019年10月から2024年11月までの期間に片側唇顎口蓋裂の初回手術および口蓋形成術を行った80名の乳児の石膏模型とスキャン画像がそろっている94 組のうち,計測可能な資料37組を対象資料とし,計測を行った。

     <結果>石膏模型と口腔内スキャンの資料採得を行った94 組の資料のうち,本研究で設定した計測項目をすべて満たす資料は37例であった。本研究で不採用となった資料はModel群で16例,Scan群で27例であった。不採用となった資料は,両群とも上顎結節点の印象採得が不完全であったものが多かった。距離計測,角度計測のすべての計測項目でModel群とScan群間に有意差は認めなかった。

     <結論>距離計測,角度計測ともに両群間に統計学的有意差は認めなかった。このことから口腔内スキャンによる光学印象法は唇顎口蓋裂患者の資料として有用であることが示唆された。

症例
  • 堀内 美和, 田村 知子, 本田 綾, 藤居 泰行, 杉崎 リサ, 近津 大地
    原稿種別: 症例
    2026 年51 巻1 号 p. 22-29
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    [早期公開] 公開日: 2026/02/13
    ジャーナル 認証あり
     顎裂部骨移植術(ABG)は,一般的に自家腸骨海綿骨細片を用いて犬歯萌出前の学童期に実施される手術だが,なかには成人になって行う症例もある。しかし,成人の場合,移植骨の吸収や矯正歯科治療の際に歯の移動に難渋するといった問題に遭遇することも多く,また矯正歯科治療を術後どの時期に開始するべきか統一した見解もない。一方,骨への外科的侵襲は骨の代謝活性を亢進し歯の移動を促進させることが知られている。今回,われわれは成人のABG後早期に矯正歯科治療を開始し,良好な治療結果が得られた症例を経験した。症例は39歳女性で,右側顎裂部への治療目的で当科初診となった。出生地で口唇形成術を受けたが,以降の治療は中断していた。初診時,前歯部の被蓋は正常であったが,口元の突出感を認めていた。右側上顎中切歯は捻転し,欠損を認めた右側上顎側切歯および右側上顎犬歯領域には右側上顎乳側切歯,乳犬歯が残存していた。右側上顎乳側切歯,乳犬歯および両側下顎第二小臼歯を抜去し,ABG後に移植骨領域へ右側上顎中切歯を遠心移動し右側上顎側切歯として代用し,さらに右側上顎中切歯領域は左側上顎中切歯で,左側上顎中切歯領域は左側上顎側切歯で代用する方針とした。ABG後3週目にマルチブラケット装置による動的矯正歯科治療を開始した。顎裂部の架橋骨は頬舌的・上下的に良好に維持され,途中,数ヶ月の治療中断期間があったものの術後2年6ヶ月で上下顎歯の排列を認めて治療は終了となった。成人例であっても術後可及的すみやかに矯正歯科治療を開始したことで良好な歯の移動ならびに移植骨の維持が可能となり,機能的・整容的改善を認めることができ,患者満足度の高い治療結果を得ることができた。
  • 鶴田 仁史, 宮本 純平
    原稿種別: 症例
    2026 年51 巻1 号 p. 30-42
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    [早期公開] 公開日: 2026/02/13
    ジャーナル 認証あり
     

     Sturge-Weber 症候群(SWS)は,片側の皮膚(特に顔面三叉神経領域)の血管腫,大脳皮質の石灰化,緑内障などを呈する疾患である。口腔内所見には,単純性血管腫,歯肉過形成,片側上顎過成長による不正咬合などがある。

     われわれはSWS の1例について長期経過に文献考察を加えて報告する。患者は,SWS の17 歳の女性で,左側単純性血管腫と緑内障および左側上顎臼歯部の過成長による上顎咬合平面の左方傾斜を伴う顔面非対称を有していた。顎矯正手術に伴う大量出血のリスクを回避して,通常の矯正歯科治療を行った。

     顔面の非対称性は残ったものの,治療により緊密な咬合が得られ,保定後も安定した咬合を維持した。カムフラージュ矯正歯科治療による咬合および咀嚼機能の改善は患者の生活の質の向上に有益であった。

二次出版
  • 吉田 秀児, 渡邊 章, 須賀 賢一郎, Jean-Charles DOUCET, 成田 真人, 菅野 勝也, 内山 健志
    原稿種別: 二次出版
    2026 年51 巻1 号 p. 43-50
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    [早期公開] 公開日: 2026/02/13
    ジャーナル 認証あり

     目的:本研究は口唇と外鼻の二次変形を示す口蓋裂の有無によらない両側口唇裂(BCL+/-P)のアジア人患者に対するDelaire-Precious 法を用いた修正手術の有効性を判断することを目的としている。

     デザイン:後ろ向きコホート研究

     対象:1 人の外科医によりDelaire-Precious 法による二次修正術を施行した日本,フィリピン,ベトナムの36 名のBCL+/-P患者。

     方法:この手術手技の重要な概念は議論され,明らかにされている。そこで,この手術法の有用性を評価するため,患者およびその両親の満足度調査を実施した。

     結果:Delaire-Precious 法は,キューピッド弓の対称性と上唇結節のボリュームを改善する。この手術法は,外側と内側の人中の間における瘢痕組織を切除する。ついで,口輪筋を顎間骨の正中部骨膜上で再建する。その結果,ほとんどの患者(90.9 %)とすべての両親が,手術結果に満足していた。本手術法は,瘢痕修正における改善の程度をのぞいても,患者とその両親にとって非常に満足の得られるものであった。

     結論:上唇外鼻のDelaire-Precious 法を用いた両側口唇裂患者に対する二次修正術は,さまざまな民族グループに対して適用できる適応性の高い手術法である。当該手術がアジア人のBCL+/-P 患者にとって,満足の得られる手術法であることが本研究で証明された。

  • Japancleft 委員会 言語ワーキンググループ
    原稿種別: 二次出版
    2026 年51 巻1 号 p. 51
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり
  • 緒方 祐子, 手塚 征宏, 藤原 百合, 武井 良子, 杉山 千尋, 廣瀬 将行, 佐藤 亜紀子, 今村 亜子, 鈴木 恵子, 今井 智子, ...
    原稿種別: 二次出版
    2026 年51 巻1 号 p. 52-65
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり

    【緒言】口蓋裂の標準的な言語評価法がないため,国内外での情報交換が困難である。口蓋裂患者の発話を聴覚的に判定する標準的言語評価法を策定し,妥当性を検証することを目的とした。

    【研究対象と方法】CAPS-A(Cleft Audit Protocol for Speech-Augmented)を基に,日本語の音声資料とパラメータを考案し,日本語版標準的口蓋裂言語評価法(CAPS-A-Japan:CAPS-A-JP)を策定した。本研究は,日本口蓋裂学会Japancleft 委員会言語評価ワーキンググループにより実施された。第1 段階では,音声サンプリングプロトコルを構築した。第2 段階では,複数の口蓋裂言語の特徴および音声資料の定義と基準を改訂し,20 名の録音音声資料を検証した。第3 段階では,40 名についてCAPS-A-JP の共鳴の結果と臨床検査の結果を比較し,基準関連妥当性を評価した。第4 段階では,6 名の日本人言語聴覚士が20 名の音声を2 回聴取し,評価者内および評価者間信頼性を検証した。信頼性の分析にはクラス内相関係数(ICC)を用いた。

    【結果】共鳴の基準関連妥当性の一致率は,高圧文で71%,低圧文で54%であった。評価者間信頼性はmoderate またはgood (ICC:0.45-0.80)と評価されたが,発達途上の構音の誤りについてはfair と評価された。閉鼻声と語の音の配列の誤りについては,症例が少なかったため,ICC はpoor または計算不能であった。評価者内信頼性はgood またはvery good と評価されたが,閉鼻声,可聴性の呼気の鼻漏れ・鼻雑音,語の音の配列の誤りについてはICC がpoor または計算不能であった。

    【結論】標準的な言語評価法であるCAPS-A-JP が本邦で初めて策定された。今後,トレーニングプロトコルの導入を含めて,この評価法の最適化に向けた研究が必要である。

  • 緒方 祐子, 手塚 征宏, 藤原 百合, 武井 良子, 杉山 千尋, 廣瀬 将行, 佐藤 亜紀子, 今村 亜子, 鈴木 恵子, 今井 智子, ...
    原稿種別: 二次出版
    2026 年51 巻1 号 p. 66-67
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/10
    ジャーナル 認証あり
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