日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
統計
口唇裂・口蓋裂児に関する臨床統計的検討(2019)
髙木 律男児玉 泰光飯田 征二井上 直子小林 眞司阪井 丘芳須佐美 隆史須田 直人中村 典史宮脇 剛司古郷 幹彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 47 巻 3 号 p. 210-219

詳細
抄録

一社・日本口蓋裂学会では,学術調査委員会の2020年度の事業として,2019年1年間の会員施設における新規患者について臨床的検討を行った。49施設より965例の登録があり,以下の結果を得た。1)症型別では唇裂110例(11.4%),唇顎裂206例(21.3%),唇顎口蓋裂388例(40.2%),口蓋裂193例(20.0%),粘膜下口蓋裂52例(5.4%),その他16例(1.7%)であった。2)罹患側では左側368例(52.2%),右側183例(26.0%),両側性160例(22.7%)。両側性は唇裂で少なく,唇顎口蓋裂で他の症型に比べて多かった。3)性別では女性432例(44.8%),男性533例(55.2%)。多くの症型で男性が多い中,口蓋裂では若干であるが,女性の方が多かった。4)出生時体重では,粘膜下口蓋裂で他の症型よりも低体重であった。5)出生前診断では,外表に変化のある口唇裂を含む症型で50%程度であった。6)両親の年齢では,全体に父親が母親よりも若干高年齢であったが症型間に差はなかった。7)血族内での出生では,いずれの症型も6~8%をしめていた。8)併発疾患および 9)症候群,染色体異常については,口蓋裂および粘膜下口蓋裂児において頻度が高かった。併発疾患については,1例で複数の併発がみられる場合が多かった。なお,症型間で統計処理(カイ二乗検定)を行い,性差,罹患側,生下時体重,併発疾患,症候群・染色体異常において有意差(p<0.05)を認めた。以上,1年間に出生した日本人の口唇裂・口蓋裂児の多数例の検討から有意義なデータが得られた。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本口蓋裂学会
前の記事 次の記事
feedback
Top