日本口蓋裂学会雑誌
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口唇形成術後における上顎歯弓の経時的変化に関する研究両側性ロ唇裂について
山本 忠
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1976 年 1 巻 1 号 p. 1-19

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抄録
口蓋裂を伴う両側性口唇裂患者36名について口唇裂手術前後の顎発育を継続的な上顎印象模型により検索した.口唇形成手術は,one stage operationとtwo stage operationに分けた.また対照として健康小児10名の顎発育と比較した.(1)両側性唇顎口蓋裂者の術前の各径は健康小児の顎より大きい.(2)いずれの術式においても術後に顎発育抑制を認めた.(3)手術法別に比較すると,顎発育に対する影響は,one stage operation適用症例において顕著であった.この理由は,one stage operationでは顎発育最盛期に0致して形成手術が実施されたためで,鼻中隔は「く」の字型に轡曲し両segmentは中間顎後方のアンダーカットへ陥入している.それに対してtwo stage operation遡穏症例では2回に分けて手術が実施され,鼻中隔と中間顎は一旦手術側に偏位し,4ケ月後の2回目手術で反対側へ再偏位する.その結果鼻中隔はジグザグに曲って経過し,中間顎は両segmentと正常位で接触するようになる.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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