抄録
年令15才から36才までの男性7名,女性6名の未手術口蓋裂患者の側方頭部X線規格写真,口腔の石膏模型を分析した.これらの患者は,破裂型別に分けると,口唇形成術をうけた唇顎口蓋裂8例(そのうち1例は粘膜下口蓋裂),唇裂を伴わない口蓋裂のみ5例からなっていた.
結果として,A点の後退はなく,上顎の前方発育はほぼ正常であった.下顎では,ramus heightの短縮gonial angleの開大,mandibular planeの増加があった.
口唇形成手術をうけた症例には,前歯部の舌側傾斜による不正咬合が多かったが,これは,口唇形成手術が歯牙および上顎胃歯槽部に影響を与えるためであろう.しかし,この手術は上顎骨体部には影響をおよぼさないように思われる.