日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
わが国における唇顎口蓋裂治療の現況
宮崎 正
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 12 巻 2 号 p. 75-84

詳細
抄録
わが国における唇顎口蓋裂治療の現況について,54施設を対象としてアンケート方式による調査を行い,さらに,わが国の調査結果を欧米における治療実態と検討し,以下の結果を得た.
1.術前顎矯生について:欧米ではルチーンに術前顎矯正を行う施設が多いのに対し,わが国ではわずか13%の施設が顎矯正をルチーンに行っているにすぎない.
2.唇裂手術について:片側性唇裂に対する手術法として,わが国でも欧米でも三角弁法やMillard法を適用する施設が多い.
3.口蓋裂手術について:わが国ではMucoperiosteal法,とくにPushback法を採用する施設が多い.一方,欧米の場合,手術法は多様であり,Mucoperiosteal法やVelo Plasty法を用いる施設が多く,Mucosal法も20%近くの施設で用いられている.
4.言語管理について:わが国では大半の施設で口蓋裂術後に積極的な言語管理が行われている.
5.耳鼻疾患の管理について:欧米では大半の施設で耳鼻疾患に対する管理が行われているのに対し,わが国で耳鼻疾患の管理をルチーンに行う施設はきわめて少ない.
6.乳歯列期の矯正歯科治療について:わが国でも欧米でも乳歯列期に矯正歯科治療をルチーンに行う施設は少ない.
7.顎裂部の再建について:欧米では顎裂部の再建(Secondary bone grafting)を混合歯列期にルチーンに行う施設が多い.一方,わが国でSecondary bone graftingをルチーンに行う施設はわずかである.キーワード:唇顎口蓋裂,鼻咽腔閉鎖不全,顎顔面発育,耳鼻疾患,唇顎口蓋裂の手術.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
次の記事
feedback
Top