日本口蓋裂学会雑誌
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口唇裂口蓋裂患者の矯正治療における実態調査
佐々木 貴浩遠藤 泰昭内田 由弥内田 晴雄
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1993 年 18 巻 3 号 p. 282-290

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抄録

名古屋矯正歯科診療所における口唇裂口蓋裂患者461名(男性233名,女性228名)の矯正治療の実態について調査を行い,以下の結果を得た.
(1)裂型別では唇裂14名(3.0%),唇顎裂97名(21.0%),唇顎口蓋裂251名(54.4%),口蓋裂99名(21.4%)であった.
(2)先天性欠如歯の発症率では上顎で下顎の約8倍と高率に欠如しており,中でも破裂側の側切粛では52.4-63.5%と著しく高率に欠如していた.また,非破裂側の側切歯では24.5-26.2%欠如していた.
(3)不正咬合の分類では反対咬合が最も多く316名(68.5%),その他(1-2歯の反対被蓋,叢生,交叉咬合,空隙歯列,開咬など)139名(30.2%),上顎前突は非常に頻度少なく6名(1 .3%)であった.反対咬合の中では上顎後退型が最も多く53.3%で,下顎前突型16.6%,上下合併型17.7% ,粛槽性型12.3%であった.動的治療終了者183名(男性89名,女性94名)について
(4)初診時年齢は平均11歳5カ月
(5)動的治療期間は平均6年,
(6)マルチブラケット装置装着期間は平均3年3カ月であった.動的治療終了者の中から,(1)動的治療期間が6年±6カ月であった,(2)混合爾列期より治療を開始した,(3)初診時より健康保険を使用した治療の3条件に適合した患者14名について,初診より動的治療終了までの総治療費は平均1,183,980円で,1回平均治療費は20,480円であった.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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