抄録
本研究では,視覚フィードバックに回転座標変換を加えた新奇な環境において,連続的に動き回るターゲットを追いかけ続ける追従課題を用いて,練習量が即時的・持続的な成績の変化にどのように影響を及ぼすのか検討した。実験は2日間に分けて行われた。ターゲットの視覚的フィードバックに関し2条件(Rotation・Normal),1日目の練習量に2条件(多・少)を設け,全4条件において,試行中のターゲットとカーソルの距離の総和をエラーとして算出した。エラーの減衰やアフターエフェクトに関する結果から,①少ない練習量ではエラーがほぼプラトーになるが新奇な回転座標変換に応じた新たな内部モデルの獲得には至らないこと,②練習が多ければそれが獲得可能であること,③1日目にアフターエフェクトを生じる程度まで順応学習を達成していれば,2日目にはその達成には本来不十分な練習量でも,内部モデルは維持されることが示唆された。