日本認知心理学会発表論文集
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口頭(感情・思考・発達)
  • 齊藤 俊樹, 元木 康介, 高野 裕治
    セッションID: O-A01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    コロナウィルス感染対策により、マスク着用が世界的に普及している。これまで、マスクをした顔に対する感情認知は困難であることが示されているが、この影響が文化(国)によって異なるのかは明らかではない。本研究では、感情表出・認識に重要となる情報が文化によって異なるという表情認知の文化学習理論に基づき、マスクが感情認知に与える影響の文化差を検討した。日本人209名、アメリカ人203名の参加者は顔画像を見て、その顔の感情状態(感情カテゴリーと感情の強度)を判断した。顔画像は、表情が6種類(笑顔、怒り、悲しみ、恐怖、嫌悪、真顔)、マスク着用の有無が2種類の計12種類であった。その結果、笑顔表情の認知がマスクによって阻害され、その影響はアメリカ人でより大きいことが分かった。この結果は、表情認知の文化学習理論を支持するとともに、マスクによる表情認知への影響が感情や文化によって異なることを示すと考えられる。
  • 澤田 玲子, 佐藤 弥, 中島 亮一, 熊田 孝恒
    セッションID: O-A02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    感情表情は、中性的な感情を表す表情に比べて素早く正確に検出されることが知られるが、その認知過程の詳細は明らかでない。本研究では、中性表情の中から、怒り・幸福を表す感情表情あるいは中性的な感情と分類される逆表情を検出する視覚探索課題で得られた正答率及び反応時間データを、拡散過程モデルを用いて分析し、標的表情の検出に至るまでの認知過程に関わるパラメータを推定した。標的表情検出に関する情報蓄積過程において、逆表情より感情表情に対して、情報蓄積速度を反映するドリフト率が高く、検出の意志決定に必要な情報量を反映する閾値が大きかった。また、情報蓄積過程に先立つ注意の選択を反映する非決定時間は、逆表情に比べ感情表情で短かった。これらの結果より、他者の感情表情の素早く正確な検出には、素早く注意を引きつけることで促進された、多くの情報を加速的に収集する情報蓄積過程が関与すると考えられる。
  • 白砂 大, 香川 璃奈, 本田 秀仁
    セッションID: O-A03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    人はしばしば、限られた時間や認知資源の中で、1~2秒程度のごく短い間に判断を行う。その判断は、正確なことも多い一方で、誤っていることもある。これらの違いは、どのような判断プロセスのもとで生じるのだろうか。本研究はこの点を、マウスカーソルの軌跡を指標として簡易的に検証することを試みた。行動実験では、実験参加者は白黒の格子画像が呈示され、「黒い面積が全体の半分以上か」を「はい」か「いいえ」で回答することが求められた。マウス軌跡に基づく分析の結果、刺激呈示後1秒付近において、マウスの速度が最大に達する傾向、および参加者の誤答が多い傾向が確認された。人は判断を始めてから約1秒前後の時点で、認知的葛藤を感じていないものの誤った判断を行うケースが多いということが示唆された。
  • 齋藤 岳人, 井上 和哉, 樋口 大樹, 小林 哲生
    セッションID: O-A04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    本研究の目的は,記憶や流暢性現象(真実性効果など)において重要な要因と考えられている書体の読みやすさに書体への接触,使用経験が関与するのか明らかにすることである。そこで,大学生を対象として,無意味文字列に対する書体の読みやすさと接触頻度,使用頻度のWeb調査(7件法のリッカート法)を行い,これらの関係を検討した。書体ごとの評定値を平均し,相関係数を算出したところ,読みやすさと接触頻度で.69,読みやすさと使用頻度で.77の高い正の相関が有意であった。しかし,特徴的な形態の書体や,特定の種類の書体では接触,使用頻度に関係なく,読みやすさが判断されていた。この結果は,普段から目にすることが多く,使用する機会の多い書体が読みやすいと判断される一方で,形態的要因から読みやすさが判断される書体も存在することを示唆する。
  • 言語的確率表現を用いた実験的検証
    本田 秀仁, 熊崎 博一, 植田 一博
    セッションID: O-A05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    実世界の現象は不確実性を伴うことが多いため、人は言語的な確率表現を用いてその現象を伝達し、またその情報に基づいて意思決定を行う。これまでの研究で、言語的な表現が伝達する数的情報(例:「わずかな見込み」は低い確率を、「ほぼ確実」は高い確率を伝える)のみならず、ニュアンス(例:「わずかな見込みがある」のようなポジティブ表現、あるいは「あまり見込みはない」のようなネガティブ表現)が私たちの意思決定に影響することが示されている。本研究では、言語的確率表現に基づいて意思決定を行ったときのパフォーマンスを自閉症者と健常者間で実験的に比較し、自閉症者の不確実性理解と意思決定の特徴を分析した。結果として、自閉症者は、1)言語的なニュアンスの影響を強く受ける、2)言語が伝える数的情報の影響は小さい、という2点が明らかになり、健常者とは異なる形で不確実性を理解し、また意思決定を行っていることが示された。
  • ―BGMを自分で選ぶとやる気が高まる―
    市村 賢士郎, 平井 志歩, 水野 廉也
    セッションID: O-A06
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    課題の取り組みに対するBGMの効果の有無や,どのようなBGMがよいかについての先行研究の結果は一貫していない。その一因として,テンポや感情価などBGMには複雑かつ多様な要因が関連していることが挙げられる。本研究では,よりシンプルな要因として,BGMの自己選択の効果を検討する実験を行った。AI作曲ツールを用いて参加者が作成したBGMの中から,課題中に聴きたいものを自分で選択する条件(自己選択条件),ランダムに選択される条件(ランダム条件),BGMなしの条件(統制条件)で持続的注意課題の取り組みを比較した。大学生65名のデータを分析した結果,課題成績には条件間で差が見られなかった。一方,主観的な集中度は統制群の方が,自己選択条件やランダム条件よりも高かった。また,課題の楽しさは自己選択条件,ランダム条件,統制条件の順で高かった。BGMを自己選択することで,低い集中への意識で,課題を楽しみながら,成績を維持できる可能性がある。
  • ―ジョイスティックを用いた連続反応データ―
    櫃割 仁平, 平井 志歩, 吉中 貴信, 劉 星廷, 高橋 尚悟, 野村 理朗
    セッションID: O-A07
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    私たちの先行研究では、ネガティブではなくポジティブ感情のみが俳句の美的評価を説明したり(Hitsuwari & Nomura, 2021)、認知的曖昧性が俳句の美的評価を下げたりする (Hitsuwari & Nomura, in revision) 等の新知見を見い出した。同時に、芸術におけるネガティブ感情 (Mennighaus et al., 2017) や認知的曖昧性 (Muth et al., 2015) の重要性を考慮するならば、次の研究ステップとして俳句の鑑賞中に起こる感情・認知の変化プロセスと美的評価との関係をより丁寧に検討する必要がある。そこで本研究は、俳句の各パート (上五・中七・下五) を段階的に評価し、かつジョイスティックによる連続的な感情指標を追跡することにより、感情と認知の変化が俳句の美的評価に与える経時的影響を検討した。113名の京都大学生を対象とした実験室実験の結果、ポジティブ感情の増加や感情的・認知的曖昧性の解消が「俳句の美」を説明することを見出し、俳句の鑑賞においても感情や認知の変化過程に注目する重要性を新たに示しえた。
  • ―混合軌跡モデリングを用いた検討―
    澤田 和輝, 高橋 雄介, 野村 理朗
    セッションID: O-A08
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    本研究は,青年期初期における創造性の発達軌跡の様相を明らかにし,複数の発達軌跡間の質的な違いを説明する養育態度を同定することを目的とした.第1時点目のデータは中学1年性392名から収集した.創造性は言語性のトーランス創造性テストを用いて6ヶ月の間隔を経て合計3時点で測定した.親の養育態度は第1時点でのみ自立的支援と心理的支配を測定した.混合軌跡モデルを用いた分析とモデル比較の結果,創造性の発達軌跡は3群に分類される時に最も当てはまりがよく,それらは低群,中群,高群と解釈された.さらに,多項ロジスティック回帰分析の結果,自律的支援の高さと心理的支配の低さは中群−低群間の違いを説明したが,いずれも高群との違いは説明しなかった.今回の結果は,青年期初期における言語性の創造性の発達軌跡は一様ではなく,また,ポジティブな養育態度が部分的に創造性の発達軌跡の違いに寄与することを初めて示したものである.
  • 下島 裕美, 照屋 浩司
    セッションID: O-A09
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    時間的展望の個人差は健康行動と関係することが示されている。本研究ではバランスの取れた時間的展望(BTP)と尿失禁の受診経験・受診意図,重症度との関連を検討した。ZTPIのクラスタ分析の結果,非BTP群・BTP群・低TP群に分類された。尿失禁の重症度は,国際前立腺症状スコア(IPSS; 本間他, 2002),国際尿失禁会議質問票 (ICIQ-SF; 後藤他, 2001),過活動膀胱症状質問票(OABSS; 本間他, 2005)により測定し,軽症と中等症重症に二分した。受診経験・受診意図の有無別に,クラスタ(3)×重症度(2)のクロス集計表を作成しχ2分析を行った結果,受診経験無群・受診意図無群における中等症重症の割合が非BTP群で有意に高かった。尿失禁は命に関わることは少ないがQOLを大きく低下させる疾患である。受診しない非BTP群の中には中等症重症患者が含まれる可能性が高いため,非BTP群に対しては受診を促す個別の声かけなどBTP群よりも丁寧な働きかけが必要であろう。
口頭(知覚・注意)
  • 佐々木 浩亮, 福井 隆雄
    セッションID: O-B01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    VR空間における接触物体が手腕モデルへ衝突する際の速度変化や接触物体色が擬似触知覚にどのように影響するかを検討した.VR空間上に水平に延びる円筒型パイプの中を左から右に円柱物体が一定の速さで動き,パイプに触れている手腕モデルに衝突する場所で初速度から1/10,3/10,5/10,7/10,減速なしの5段階に変化する映像を提示した.接触物体色を暖色,寒色,灰色の3種類用意した.参加者はVR空間の手腕モデルと一致するように手腕を台の上に置き,各試行直後に,擬似触覚強度について5件法により主観評価を報告した.速度変化と接触物体色の参加者内2要因分散分析の結果,両要因における主効果が認められ,さらに,減速が大きい場合,そして寒色に比べ暖色である場合に主観的強度が大きくなった.
  • 松田 憲, 牛尾 琴, 楠見 孝
    セッションID: O-B02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    単純接触効果において,過度の反復呈示は刺激への心的飽和が生じて好意度の上昇を妨げることが知られている。松田ほか(2019)は,女性アバターを反復呈示する毎に化粧を変化させて新奇性を付加させることで,心的飽和の生起が抑制されて好意度が上昇することを示した。しかし男性参加者にはこのような結果が見られず,化粧変化が男性にとって身近でないことが原因として考えられた。そこで本研究では,髪型を変化させることで,両性別の参加者に対して単純接触効果が生じるかを検討した。呈示刺激は男女のアバターで,予備調査に基づいて事前好意度の高低を操作した。参加者は反復呈示されたアバターに対する事後好感度と親近性,新奇性を評価した。実験の結果,女性参加者は,髪型変化によって特に事前好意度の高い女性アバターへの単純接触効果が促進された。一方で,男性参加者には,先行研究と同様に,髪型変化による単純接触効果の促進は見られなかった。
  • 石川 椋太, 綾部 早穂, 井澤 淳
    セッションID: O-B03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    身体所有感と自己操作感は身体的自己意識を形成する重要な要素であるが、その形成ダイナミクスは不明である。本研究では、VR空間に構築した仮想身体をハプティックデバイスを通じて任意に操作できるような環境を構築し、身体的自己意識の回復過程と身体運動記憶の変化を同時に記録した。外乱によって損失した身体所有感と自己操作感は、運動記憶の形成に伴って回復した。それぞれの回復カーブを運動記憶の早い成分と遅い成分に分解したところ、身体所有感は早い成分によって駆動され、自己操作感は遅い成分によって駆動されていた。身体的自己意識は、速度の異なる二つの脳内表象(ファスト・スローセルフ)によって形成されることが示唆された。
  • 粕谷 美里, 阿部 香澄, 長井 隆行
    セッションID: O-B04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    遠隔操作システムにおいて,操作者に操作改善の提案や,操作負担を軽減するためのサポートを行うためには,システムから提示される情報に対する操作者の受け入れやすさや理解しやすさが重要である.そこで本研究では,システムから提示される情報に対する受け入れやすさや理解しやすさを,アンケートによる主観評価に加え,NIRSを用いた脳活動を評価指標として検証し,主観的に評価がよく,かつ脳の負荷が少ない情報提示手法の検討を目的とする.本検証では、遠方にいる育児協力者が,タブレット等を介して子どもの近くに置いたロボットを遠隔操作し,その場にいるかのように子どもとコミュニケーションをとることができる遠隔育児支援システムの操作画面を想定し,4条件の比較実験を行った.結果,主観評価も高く,脳の負荷が少ない「不快情動情報+ロボット動作情報」が受け入れやすい,理解しやすい情報提示手法である可能性が示された.
  • ―ERPとEEGマイクロステートの比較―
    柏原 志保, 浅井 智久, 今水 寛
    セッションID: O-B05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    近年,EEGマイクロステート (EEGms) と呼ばれる,ある瞬間の脳の空間表現パターンに焦点を当てた脳波解析アプローチが注目されている。これまでにEEGmsと心理的機能との関連が検討されているが,各EEGmsがどのような心理的過程を反映するのかについては知見が一貫していない。本研究では,オドボール課題を用いて感覚刺激の入力や認知処理に関連したEEGmsについて検討するとともに,従来の特定電極の波形を扱うERPのような解析手法とEEGmsの関係について整理を試みた。試行間・参加者間で加算平均した20名の脳波データについて,課題時には課題陽性-陰性状態を反映することが示唆されているmsCやDが特定潜時で安定して見られた。また,刺激モダリティが異なる課題間の頭皮上分布は大きく異なることも示唆された。時系列データを時間方向に切り出すERPと,ある瞬間の全体情報を1つのまとまりとして捉えるEEGmsは相補的であり,両指標を併用することが有用であると考えられる。
  • 鈴木 萌々香, 氏家 悠太, 高橋 康介
    セッションID: O-B06
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    複数の顔写真を周辺視野に次々に提示すると不気味さや歪みを感じる(FFDE)。本研究ではFFDE刺激として顔全体提示、上半分提示、目のみ提示、目非提示、輪郭非提示の5条件を用いて、顔の各部位がFFDEの強さに及ぼす影響を検討した。実験では250 msごとに写真を切り替えながらFFDE刺激を10秒間提示し、刺激観察中に歪み知覚が生じたらボタンを押すこと、刺激提示後に歪みと不気味さの主観的強度を7段階で回答することを求めた。実験の結果、提示する顔部位により歪みや不気味さの主観的強度が異なり、顔全体>輪郭非提示>上半分>目非提示>目のみ提示の順となった。また刺激観察中に歪みを知覚するまでの潜時も提示する顔部位により異なっていたが、主観的強度の順序とは乖離が見られた。以上の結果から顔の全体処理がFFDEの生起に関与すること、またFFDEの強度と潜時には異なる決定要因が存在することが示唆された。
  • 色知覚処理に注目して
    本山 宏希, 菱谷 晋介
    セッションID: O-B07
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    視覚イメージと視知覚が共通の生成過程を経ていることは多くの先行研究で指摘されており,特にそれは一方が他方の処理を妨害するという実験結果から示されてきた。共通の生成過程を経るのであれば,一方が他方の処理を促進することもあり得る。しかし,妨害することを示す実験結果に比べ,促進することを示す実験結果は少ない。本実験では,視覚イメージ生成が色知覚を促進することを示す実験結果が得られた。これにより,まず,視覚イメージ生成によって形成される色表象が,視知覚処理によって形成される色表象と同一であるか少なくとも影響を与える関係にあることが示唆された。また,本実験手続きには視覚イメージが視知覚処理を促進する要因が含まれており,今後実験手続きに変更を加えることにより,逆に妨害する結果が示されたならば,両者はどのような場合に促進/妨害するのかを明らかにすることもできよう。
  • 山崎 大暉, 平谷 綾香, 永井 聖剛
    セッションID: O-B08
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    自己に接近する他者の衝突時間推定は動的環境での安全な行動に必須である。衝突時間推定は対象の脅威や不快感で短縮することから(Vagnoni et al., 2012),接近顔のネガティブ表情や直視視線は推定される衝突時間を変調する可能性がある。本研究では,視角の経時変化によって接近運動を模した顔刺激の衝突時間推定課題を実施し,表情(恐怖・無表情)と視線方向(直視・逸視)の影響を検討した。参加者は暗室のモニタに呈示される接近顔を立位姿勢で単眼観察し,顔が自分に衝突すると思う時刻にキー押しした。実験の結果,逸視条件では恐怖顔の衝突時間が無表情顔と比べて短く推定されたが,この表情効果は直視条件では消失した。本結果は,衝突時間推定における表情効果が視線方向に調整されることを示す。直視による顔情報処理の促進が(Hamilton, 2016),表情によらない安定的な接近運動知覚に寄与した可能性がある。
  • 石松 一真, 増田 奈央子, 篠原 一光, 熊田 孝恒, 木村 貴彦, 河野 直子
    セッションID: O-B09
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    運転中に状況の変化へ柔軟に対応するためには実行機能の役割が重要となる。高齢運転者の適性検査では、実行機能に生じる加齢変化を多面的に評価することが必要となる。本研究では、切り替え、更新、抑制という3つの要素を包む新たな実行機能評価課題の開発を試みた。一定のペースで提示される数字への反応が求められるgo/no-go課題(5ブロック225試行)を新たに作成し、45歳から80歳の参加者124名に課した。数字の提示規則をブロック間で操作し、規則変化が課題パフォーマンスに与える影響を検討した結果、提示規則が変化したブロックでは、コミッションエラーの発生率が有意に増加した。また反応時間やオミッションエラーの発生率などは年齢と有意な正の相関を示した。既存の運転適性検査やTrail Making Testとの関連の検討から、実行機能の加齢変化やその個人差を測定可能な評価課題となっていることが示唆された。
ポスターA
  • 嘉幡 貴至, 川島 朋也
    セッションID: P1-A01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    隠匿情報検査 (CIT)は、同一カテゴリの複数の質問項目を提示し、特定の項目に対する反応と他の項目に対する反応の比較によって記憶の有無を推定する情報検出手法であり、生理指標ベースのCITは警察組織で実施されるポリグラフ検査にも採用されている。一方、反応時間ベースのCIT (RT-CIT)の多くは、質問項目と同一カテゴリのターゲットに対し、質問項目とは異なる反応を求める手続きが必要であることから、実務検査で用いられる一部の質問構成に適用できないという問題がある。そこで本研究では、先行手がかり課題を応用し、質問項目を先行手がかり、幾何学図形を後続ターゲットとすることによって、両者が別カテゴリでも実施可能なRT-CIT手法を作成した。先行手がかりとターゲットのSOAを操作した実験の結果、質問項目が隠匿情報か否かによって、ターゲットに対する視覚処理が異なる可能性が示唆された。
  • 川島 朋也, 木村 司, 篠原 一光
    セッションID: P1-A02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、運転者がスマートフォンなどを車載機器として運転席近傍に置いて利用する例が増えているが、それが運転者の注意を損なうリスクは十分に検証されていない。本研究では、参加者近傍に配置した車載機器を模したLEDの点灯が注意を捕捉する過程を検証した。実験参加者(n = 20)はモニタ上に横に3台配置された自動車の画像を観察し、ブレーキランプの検出が求められた。参加者の左右近傍にLEDを配置した。LEDとブレーキランプ点灯位置の一致性(一致、不一致)ならびにLED点灯からブレーキランプ点灯までのSOA(50、150、350、550 ms)を操作した。実験の結果、SOAの有意な主効果が認められ、LED点灯直後のブレーキランプ検出が遅延することが示された。さらにSOAが550 msの条件では、不一致条件よりも一致条件の反応時間が遅くなる復帰抑制が見られた。これらは、車載機器の視覚情報によって注意が空間的に捕捉され、車外空間の視覚情報検出が遅延する可能性を示唆する。
  • 劉 文娟, 伝保 昭彦, 木村 司, 篠原 一光
    セッションID: P1-A03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    高度情報化社会では仕事における創造性に大きな価値がおかれ、より多く創造性の高い結果を産出できる作業環境に関心が集まっている。創造的思考は、一般的な認知活動と異なり、課題との関連が少ない情報にアクセスすることが重要である。注意が作業からそれるような注意散漫な状態は、作業に直接的に必要な情報以外を取り組むようにするため、その状態にある人がより多く情報にアクセスできると考えられる。本研究は、このような注意状態が創造性向上に寄与できると考えており、それを引き起こす可能のある環境要素として、スマートフォンの存在の有無と自然接触の有無を実験的に操作することによって創造性が向上するかを、遠隔連想課題(RAT課題)を用いて検討した。その結果、スマホの有無は、RAT課題の成績を向上させたが、自然接触の影響は見られなかった。このことから、スマホの存在が作業者の注意状態に影響し、創造性を高めることにつながると示唆された。
  • 張 晗, 川島 朋也, 篠原 一光
    セッションID: P1-A04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    日常生活での中断はエラーを招く可能性があるが、適切な介入によりその悪影響を軽減できる(Guo et al., 2021)。また、中断の悪影響とワーキングメモリ(WM)容量の関連も示されているが、介入との関連は明らかではない点が多い。そこで本研究は、中断後の課題成績を介入の有無間で比較し、さらにOSPAN課題で測定されるWM容量との関連を検討した。実験には34名が参加した。画面上のボタンを一定の順序でクリックする主課題を行っている途中、中断課題としてかなひろいテストを遂行した。中断時の介入の有無を実験的に操作した。主課題再開後のエラー数を計測した。その結果、介入なし条件より介入あり条件の方が中断後のエラー数が少なく、介入あり・なしの2条件ともWM容量低群より高群の方が中断後のエラー数が少なかった。これらの結果から、中断の影響がWM容量の違いと関連することが確認され、介入による中断の悪影響の軽減が可能であることが示唆された。
  • Shin Yurie, 川島 朋也, 篠原 一光
    セッションID: P1-A05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    視覚探索課題ではターゲットの位置は大局的文脈に関連付けて記憶されることが明らかになっている(Brockmole, Castelhano, & Henderson, 2006)。本研究では、複数の配列情報と背景を組み合わせた場合の文脈手がかり効果を検討した。28名の実験参加者に、大局的文脈として手がかり情報の提示方法を操作(位置反復・形状反復)することにより背景と対応する配列を学習させ、その後、背景条件(背景固定、背景回転)と4つの配列情報(位置反復、形状反復、位置・形状反復、ランダム)を組み合わせた視覚探索課題を遂行させた。その結果、背景が固定されている場合に比べ、位置・形状が反復する条件でも背景の回転によって反応時間が長くなった。これらの結果から、大局的要素である背景情報が維持される場合の方が学習効果は高いことが示された。
  • 武重 百香, 入戸野 宏
    セッションID: P1-A06
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    物体のカテゴリ判断 課題において,物体の握り手の向きが反応する手と一致 していると運動反応が促進されるという知見がある。 この結果は,握るのに適した手の運動をアフォーダンスの知覚が促進する効果として解釈されている。そうだとすれば,握ることの危険性をアフォードする刃物の場合には,手の運動が抑制されると予想される。本研究では40名の右手利きの大学生・大学院生が,刃物および刃物でない物体のカテゴリ判断課題を行った。その結果,握り手の向きと反応手が一致しているときに反応が促進されることはなかった 。また,刃物に対する反応は刃物でない物体に対する反応よりもすばやく行うことができ ,特に刃物の尖端 の向きと反応手が一致しているときに反応が促進された。以上の結果から,刃物の場合には握り手のアフォーダンス効果は認められず,刃物の尖端が視覚的注意を集めたことによるサイモン効果が生じたと考えられる。
  • 木村 貴彦, 岩原 昭彦, 八田 武志
    セッションID: P1-A07
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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    2019年の就業者全体に占める高齢者の割合は13.3%となり(総務省,2020),高齢者が持続的に就労するためには安全に健康で働く環境を整備する必要がある.すなわち,日常生活や働く場面における危険やエラーがどのように発生するのかを明らかにし,それらを防止する方法を見出す必要がある.エラーや失敗には注意機能が関与していることが多いことから,本研究では住民健康診断に参加した中高年齢者を対象として注意特性やエラー特性を検討することを目的とした.対象者は2016年から2019年の4年間に実施された住民健康診断に連続して参加した72名とした.職業として,専門/技術職,事務職,農林漁業,自営業,主婦,無職,その他のいずれかに回答を求めた.注意特性を評価するためにD-CAT(Digital Cancellation Test:数字末梢課題)を実施した.得られた結果から,就業経験の違いによって注意特性がどのように違いが見られるのか,またその経年変化について議論した.
  • 視空間的課題を用いた検討
    原田 悦子, 小笹 朋哉, 安久 絵里子
    セッションID: P1-A08
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年,認知的加齢は認知的制御機能の減衰が主原因ではないかとの仮説が広く受け入れられている.そこで,認知的加齢と日常的な二重課題状況としての「ながら聴取」の関係を明らかにするために,加齢に伴い,音楽などの聴取が干渉的な効果をもたらすか否かを検討した.実験では視空間的認知課題として3x3マトリクスに文字が表示されるNバック課題を用い,文字種あるいは文字位置をターゲットとして回答を求めた.実験の結果,特に文字位置をターゲットとした位置課題において,反応時間において,音環境が提示されない統制群に比べ,ノイズキャンセリング機能をオンにした3条件(ヘッドフォン装着のみ,音楽提示,サウンドスケープ提示)では反応が同等に早くなることを示され,その影響は若年成人により強く示された.日常的な環境雑音を取り除くことが特に視空間的な認知的制御機能を促進すること,その効果と認知的加齢の関係性について考察する.
  • ― 実店舗での商品探索後の白地図描画課題による検討 ―
    岩根 榛花, 原田 悦子
    セッションID: P1-A09
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    買い物行動の中でも,目的の商品を探索する商品探索過程に注目する研究は数少なく,特に,認知的加齢による影響についての検討は見受けられない.そこで,実際のスーパーマーケットにて複数商品を1つずつ複数回探索する実験課題を高齢者と若年者に実施し,その探索過程について検討を行った.事後に行われた白地図描画課題について,Gardony Map Drawing Analyzer(Gardony et al., 2016)による量的分析と,地図描画の特徴に関する質的分析を行った結果,地図描画の正確さでは年齢群間差が示されたものの,両年齢群ともに高い成績を示していること,東西南北が回転する誤答が生起していたが,商品間の関係性は高く保持されていることが明らかとなった.地図描画では,棚を描画する場合と商品のみを描画する場合が見られた.これらの結果を,商品探索課題の過程・達成を踏まえて考察する.
  • 渡邊 元樹, 高橋 達二, 中村 紘子
    セッションID: P1-A10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    ワーキングメモリの容量が、条件推論のパフォーマンスに影響する可能性が示されている。このタイプの推論のプロセスを説明する理論としては、確率的な情報に基づいて判断する確率論的説明と、反例を検索して最終的に結論を出すメンタルモデル的説明の2つが代表的である。先行研究によれば、メンタルモデル的説明の方が、より多くのワーキングメモリを必要とするため、ワーキングメモリの容量が少ないほど、確率論的に解釈し、ワーキングメモリが多いほどメンタルモデル的に解釈する。しかし、近年の推論の確率論的理論(新パラダイム)においては、条件文の理解や条件推論はラムゼーテストと呼ばれるプロセスに従うとされており、このプロセスはワーキングメモリを使用すると考えられる。そこで、本研究では、ワーキングメモリ容量と、条件推論課題(確率判断と真理値表課題)の回答パターンとの関係を明らかにすることを目指す
  • 遠隔対話システムとアバター利用の影響,ならびに客の年齢層の効果
    安久 絵里子, 葛岡 英明, 原田 悦子
    セッションID: P1-A11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年,遠隔での対話機会が増える一方で,そこでの非言語コミュニケーションの難しさが指摘されている.そこで本研究は,旅行代理店での接客場面を想定し,通常の遠隔対話システムを用いた接客と対面接客,およびアバター映像を用いた遠隔接客との比較を目的とした実験を行い,客の年齢層の影響を加えて検討した.本発表では店員・客間の対話時視線行動について報告する.実験の結果,遠隔接客では1回の視線行動の持続時間が長く,知覚的処理に時間を要している可能性,および若年客はアバター映像時の視線行動の持続時間が短くなり映像からの情報収集に消極的な可能性が示唆された.また接客対話において,若年客では店員・客間で同等の頻度で相手へ視線を向けるという協働問題解決が見られた一方,高齢客には店員が一方的に視線を向ける非対称性が生じており,高齢客が問題解決重視になることにより店員側にコミュニケーション負荷がかかる可能性が示された.
  • 山岸 未沙子
    セッションID: P1-A12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    冬は交通条件が悪化することが多く、交通事故が多いと言われている。交通条件悪化に適応するには素早い反応や判断が求められるため、特に認知機能低下がみられる高齢ドライバは冬の運転リスクが高いと考えられている。しかし交通統計は個人内の変動を考慮していない。本研究では個人内の冬の運転リスクを検討するために、高齢ドライバ85名の有効なドライブレコーダデータを用いて、季節ごとにCrash and Near-crash事例 (CNC) を抽出した。個人内の冬の運転リスクについて春を比較対象として検討したところ、冬と春のCNC件数に相関関係 (r=0.8) が認められ、季節を通してCNC件数の多い、あるいは少ないドライバの季節間の差の拡大が冬の運転リスクにつながることが示された。冬のCNC件数と各要因との関係を検討した結果、冬の運転リスクは認知機能や運転習慣、行動様式で説明される可能性が示唆された。
  • 有馬 多久充, 森田 愛子
    セッションID: P1-A13
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    マルチメディア学習において,一般的には視覚情報に音声情報を追加することが学習のサポートになることが示されている。一方で,同じ情報を複数の方法で同時に提示することにより負の影響が生じる場合も存在する。本研究では,読解能力を規定する能力として語彙数を取り上げ,大学生41名を語彙数の違いで2群に分け,大学入試レベルの文章の読解を行わせた。文章と同時にその文章を読み上げた音声を提示する「音声あり」条件,文章のみを提示する「音声なし」条件を設け,文章の逐語記憶と内容理解の測定を行った。その結果,逐語記憶・内容理解ともに交互作用のみが見られ,語彙数低群では音声がある場合に逐語記憶成績がよく,語彙数高群では音声がある場合に内容理解成績が低下した。読解能力の低い学習者に対しては読み上げ音声の同時提示が有効となる一方で,語彙数高群にとっては音声の同時提示が学習を阻害する認知的負荷になるというredundancy効果が示された。
  • 学生による自由記述の結果による報告
    伊藤 美加
    セッションID: P1-A14
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、大学生に求められる力、特に思考力について、大学生と大学生以外ではどのように考えるのか、そしてそれらはどのように異なるのかという視点から検討した。具体的には、大学生に求められる力について、自分の考えを記述し、他者にインタビューを行うことで他者の考えをまとめてもらうという形式で、データを収集し、その結果を分析した。その結果大学生に求められる力として、大学生も社会人も「考え抜く力」を、社会人は大学生よりも「チームで働く力」を重視していた。そして「考え抜く力」の分析から、大学生はレポート作成や課題提出に必要な力を大学生に求められる力としているのに対し、社会人は問題発見解決に至る一連のプロセスに必要な力を大学生に求められる力としていると解釈された。
  • 宮崎 淳
    セッションID: P1-A15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    ヒトの行動は,知覚,注意,記憶,言語,実行機能といった多様な認知機能の複合によって支えられている.個人の認知機能の特性(認知特性)を捉えることで,ヒトが行動する様々な領域(教育や医療など)で役立つ可能性がある.本研究の目的は,大規模データから個人の認知特性のパターンを探索的に分類することである.データは,米国Human Connectome Projectのデータベースに登録されている1185名のデータを利用した.実験参加者の認知機能は,NIH toolboxに含まれる認知機能検査バッテリーを用いて評価された.分析は,データの次元削減を行った後,クラスター分析を行った.その結果,3つのクラスターに分類された.1.言語・記憶課題を得意とするパターン,2.言語・実行機能課題を得意とするパターン,3.処理速度・実行機能課題を得意とするパターンに分類されることが示された.
  • 黒木 亮, 福井 隆雄
    セッションID: P1-A16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    書字運動の評価はペンタブレットを用いた測定が一般的である.しかし,ペンタブレットでは書字動作中に用紙に接触していない部分である空筆部の分析が不可能であるため,本研究では,空筆部についてもデータ取得可能なモーションキャプチャを用いて検討した.実験参加者は,小学5年生~中学3年生の児童・生徒であり,ホワイトボードに手本となる漢字(「牛」,「毛」,「友」,「戸」)を提示し,鉛筆を用いた書字を行った.書字部及び空筆部における,画数ごとの書字時間,標準化躍度スコア(運動のなめらかさの指標)を分析した.その結果,書字部・空筆部ともに書字時間と標準化躍度スコアに正の相関が認められた.
  • 太田 直斗, 望月 正哉
    セッションID: P1-A17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    動詞の意味が身体動作と関わる程度の身体関連性(relative embodiment:RE)は動詞処理に重要な役割を果たすことが知られる。本研究では,先行名詞の具象性が高RE動詞の処理にどのように影響するかを検討した。実験では名詞の具象性と動詞のREの高低から規定される単語ペアの種類と,名詞と動詞をつなげる格助詞の種類で文法性を操作した。参加者は先行する名詞句のあとに提示される単語が動詞なのか名詞なのか判断した。実験の結果,高具象性名詞と高RE動詞のペアは低具象性名詞と低RE動詞のペアより判断時間が短かったが,低具象性名詞と高RE動詞のペアでは同様の効果を示さなかった。また,単語ペアの種類と文法性の間に交互作用はなかった。動詞に注目する課題設計のため,先行名詞や文法性の影響がみられなかったと考えられる。
  • 楠瀬 悠
    セッションID: P1-A18
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では,視覚的な語の読みにおける音韻情報の役割について,漢字語の同音語数による影響を基に検討した。Hino, Kusunose, Lupker, & Jared (2013)は,漢字語の同音語数を操作した語彙判断課題を行ったところ,同音語少条件には抑制効果が観察されたのに対して,同音語多条件では促進効果が観察された。一方で,水野・松井 (2016)では,同様の実験について音韻親近性を統制して行ったところ,同音語数による抑制効果のみを報告しており,Hino et al. (2013)とは異なる結果を示していた。
     そこで本研究では,このいずれの結果が正しいのかを確認するために,音読課題を用いて漢字語が持つ同音語数の影響について検討した。その結果,同音語少条件では効果が観察されず,同音語多条件のみに抑制効果が観察された。この結果は,同音語多条件では音韻レベルから形態レベルへのフィードバックが関与することにより多数の形態情報が活性化され,漢字語に対する音読判断が妨害されたものと思われる。
  • 井関 龍太
    セッションID: P1-A19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    物語を読んでいるときに,ある場面では大きな盛り上がりを感じるのに対して,他の場面では淡々と進行している,あるいは,つなぎや溜めの場面であると感じることは自然なことである。物語の展開に沿った感情的なダイナミクスを捉える手段として,センチメント分析を利用することで,細かな単位での感情の推移を容易に推測することができる。一方で,そのような分析結果が人間による物語の山場の知覚と対応関係を持つのかは明らかでない。本研究では,センチメント分析に基づいて,比較的盛り上がりの部分が明確な物語文章を選び出し,実験参加者にはそれらを読んで,山場がどこにあったか,その感情的な印象はポジティブかネガティブか,読後感はネガティブかポジティブかの判断を求めた。実験の結果,センチメント分析に基づいて山場が前半のほうにあると推定された物語については,後半にあると推定された物語よりも,山場はより前のほうにあると評定された。
  • 進藤 将敏
    セッションID: P1-A20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    幼児期における人物描画の典型的な例として、正面向きかつ直立した人物の描画があげられる。一方、人物の身体部分(腕、足、腰など)を屈曲させた、「身体動作」を表す描画は稀である。この種の描画は、幼児期後期から徐々に見られることが従来から報告されているが、何がきっかけでそれが描けるようになるのか、またはどのような認知発達がそこに関与しているのかについては明らかにされてこなかった。本研究は、その点を明らかにすることを目的としている。そこで、幼児期における非典型的な描画表現である「人物の身体動作の描画」を産出する認知過程において、典型的な描画反応(例:直立した人物画)を「抑制」し、非典型的な反応(身体動作の描画)へ「切り替える」といった実行機能系の関与を想定した。今回の発表では、幼児における描画を「動作表現」の観点から分析し、実行機能課題(DCCS課題)との相関の有無について検証した事例を報告する。
ポスターB
  • ―辟易・敬意・世間の目―
    川村 純平, 後藤 航大, 青木 然, 島 奈穂, 吉田 拓功, 林 美都子
    セッションID: P1-B01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年公園のポイ捨てが問題として取り上げられることが多い。先行研究では景観美化、監視カメラの設置、子供の絵の設置がポイ捨て抑制に関わる要素であることが分かった(中俣・阿部, 2018)。本研究では公園におけるポイ捨てに関わる要素が何であるのかを因子分析で明らかにすることを目的とした。函館市内の学生131名を対象に、PsyToolkit on the webを用いて9枚の公園の写真を示して、美しい、緊張感がある、不愉快であるなどの形容語対について5段階の評定をする町並みイメージ調査を行った。スクリープロットを基に、因子数を3つに設定し、主因子法バリマックス回転で因子分析を行った結果、6項目から得られる辟易・敬意・世間の目という3つの因子がポイ捨てに関わる要素であることが分かった。我々が公園に抱く感情がポイ捨てに関わる要素であるため、今後の研究では具体的にどのような感情がポイ捨てに関わるのかを検討しなければならない。
  • −−− 「辟易」と「世間の目」の効果 −−−
    後藤 航大, 青木 然, 川村 純平, 島 奈穂, 吉田 拓功, 林 美都子
    セッションID: P1-B02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    川村ら(2021)は、ポイ捨て写真に対する印象を因子分析を用いて、「辟易」「敬意」「世間の目」に分類したが、それぞれどの程度影響を与えているのかは示されていなかった。そこで本研究では、重回帰分析を用いて明らかにすることを目的とした。実験方法は、川村ら(2021)と同様であった。「ポイ捨てのしやすさ」を従属変数、「辟易」「敬意」「世間の目」を独立変数として、ステップワイズ法による重回帰分析を行った結果、「辟易」と「世間の目」が「ポイ捨てのしやすさ」に関連していることが明らかになった。特に「辟易」の影響が強く、ポイ捨てのしやすさとの間に正の影響が見られ、「世間の目」においては負の影響が見られた(y=1.305+0.121x1-0.042x2)。本研究の問題点として、調整済み決定係数の値が低いため、今後も検討の余地がある(調整済R2乗 = 0.095)。
  • ― ポイ捨ては人か環境か ー
    青木 然, 川村 純平, 後藤 航大, 島 奈穂, 吉田 拓功, 林 美都子
    セッションID: P1-B03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では公園でのごみのポイ捨て行動について、Dark Triad(マキャベリアニズム、自己愛傾向、サイコパシー傾向の3特性を総称した概念)と呼ばれるパーソナリティ特性からの説明を試みた。大学生130名程度を対象に、実験参加者には9枚の公園の写真を提示し、その写真に対して、“どれだけポイ捨てを行いやすいか”を5件法で回答を求めた。また、Dark Triad尺度であるSD3-J(下司・小塩, 2017)を用いて、上位群と下位群に分け、Dark Triad得点の上位群と下位群における‘‘どれだけポイ捨てを行いやすいか”得点にt検定を行ったところ、サイコパシー傾向とDark Triad全体では、各上位群が各下位群よりも比較的ポイ捨てを行いやすいことが明らかとなった(t(45)=2.37 , p<.05 ; t(40)=1.92 , p<.10 )。Dark Triadの高い者は自分本位であるが故に周囲を気にせずポイ捨て行動をしやすいことが考察された。今後は紙媒体での質問だけではなく、実際のポイ捨て行動からも検討していく必要性があるだろう。
  • 向居 暁, 清水 友美恵
    セッションID: P1-B04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    広島カープが試合に勝つとカープファンにはポジティブな感情が生起するだろう。また,その感情価はファンの程度によっても異なると考えられる。本研究では,ポジティブ感情を経験することにより個人の思考―行動レパートリーが広がると仮定する「拡張―形成理論」にもとづき,カープが巨人に大勝する記事(ポジティブ条件),大敗する記事(ネガティブ条件),カープ関連施設の記事(ニュートラル条件)を提示して感情を操作することが,認知課題成績(あるテーマに関する意見の記述)にどのように影響するか検討した。その結果,ニュートラル条件において,カープファン度の高いファン層は,低いファン層よりも意見を多く産出した。また,ファン度の低いファン層では,ポジティブ条件で他の条件よりも意見数が多くなった。この結果は,ポジティブ感情でも低覚醒度のものが,より思考―行動レパートリーを拡大させるという先行研究の知見によって解釈された。
  • 西部 美咲, 山田 浩輔, 大森 敏伸, 和田 有史, 日下部 裕子
    セッションID: P1-B05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    食品の「おいしさ」を評価することは、「おいしさ」自体が多岐に渡ることに加えて、食べる側の多様さによって複雑となっている。本研究では、食品を食べる側であるヒトを評価するにあたって、食品摂取時の情動の変化に着目した。食品摂取とそれに伴って起る情動の関係解明を目的として、覚醒-眠気、快-不快の2次元からなるラッセル円環モデルに基づいた情動の定量化を試みた。まず数日以内に食べた食品の中で印象に残ったものについて尋ね、摂取時の気分を想起してもらい、自由記述にて情動に関する語句を収集した。次に得られた語句について、ラッセル円環モデル上のどこにあてはまるか、アンケートにて座標値を収集した。アンケートの結果から、ラッセル円環モデルに対応可能な語句を選抜し、食品摂取時の情動座標を作成した。今回作成した座標を用いて、各語句と食品の関係について議論する。
  • 中村 杏奈, 田中 章浩
    セッションID: P1-B06
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    自己主体感とは,自分の運動が外部の結果を引き起こしたという感覚である。自らの運動と結果が連動するとき,その時間的間隔を短く感じるIntentional Binding (IB) が生じる。IBは,自己主体感の潜在的な指標として用いられてきた。人は,一般的にポジティブな結果に対して,ネガティブな結果と比べてIBがより強く生じる,すなわち,自己主体感を強く感じる“self-serving bias”の存在が知られる。また,抑うつ状態ではself-serving biasが弱まることが指摘されている。しかし,①音声を用いた検討が多く,日常的に他者からのフィードバックとして多いことが想定される顔を用いた検討は不十分であり,②抑うつ状態とIBで測定されるself-serving biasの関係は直接検討されてきていない。そこで,本研究では,運動の結果として他者の感情顔を呈示した際のIBを測定し,感情顔に対するself-serving biasと抑うつ状態の関係を検討した。結果として,self-serving biasの存在は支持された一方で,抑うつ状態との関係は限定的であり,今回はその考察を行う。
  • 菊地 史倫, 斎藤 綾乃, 中川 千鶴
    セッションID: P1-B07
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    鉄道旅客は列車の乗り心地や温熱環境等、様々な要因に基づいて快適性を感じている。これらの個別要因ごとの快適性への影響は検討されてきたが、移動の計画から目的地への到着までの各移動局面から構成される移動経験全体を通した快適性については検討が十分ではない。また、コロナ禍による鉄道を取り巻く環境の変化によって、移動経験に基づく快適性も変化した可能性がある。本研究ではコロナ禍前およびコロナ禍中に鉄道を利用した移動経験のある旅客の快適性について検討を行った。コロナ禍前において各移動局面の快適性を説明変数、移動経験全体の快適性を目的変数とする重回帰分析を行った結果、全ての局面が正の影響を与え、移動経験全体の快適性を約7割説明可能であった。また、この重回帰式でコロナ禍中の快適性評価を約8割の精度で予測可能であり、コロナ禍の影響によらず各移動局面の快適性から移動経験全体の快適性を予測できることが示された。
  • 被侵害感情と対処行動に着目した検討
    宮代 こずゑ, 磯 真奈美
    セッションID: P1-B08
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    パーソナルスペース(以下PSとする)に他者が侵入することで,息苦しさや嫌悪感が生じる。一方で,自身の身体そのものではなく,自身の所持品を取り巻く空間などに拡張した「自己」の範囲を,拡張的パーソナルスペース(以下拡張的PSとする)と呼ぶ。本研究では実験参加者とサクラの「ソファーの座り位置の接近度」を操作し,PSの侵害が生じたときに被侵害感情が生起し,さらに侵害されたPSを補うべく拡張的PSを維持するための対処行動が生起するかに着目した。大学生21名を対象とした実験の結果から,PS侵害条件において,参加者がソファーの座り位置を調整しようとする「座り直し」がより多く生起した。また,サクラに対してより「気まずさ」を感じている参加者は,サクラの手荷物とより遠い位置に自分の手荷物を置くこと,サクラに対してより「嫌な感じ」という印象を持った参加者は,逆にサクラの手荷物と近い位置に自分の手荷物を置くこと等が示された。
  • ― 心拍誘発電位を用いた検討 ―
    伊藤 友一, 田仲 祐登, 辻 幸樹, 品川 和志, 柴田 みどり, 寺澤 悠理, 梅田 聡
    セッションID: P1-B09
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    人の思考には時間(過去・未来),感情(ポジティブ・ネガティブ),社会的(自己・他者)などの多様な方向性がある。先行研究は心拍誘発電位(HEP; heartbeat-evoked potential)を用いて,過去あるいは未来思考時の感情的方向が身体からの求心性信号を受けて規定されることを明らかにしている。しかし,感情的方向が思考生成のどの段階で決まるのかは明らかでない。本研究では,自己や他者の未来について思考する際の感情的方向性の生起時点を明らかにするため,脳波計測実験を行った。課題では,主語・時間・内容の3要素からなる文(例:私は/将来/試験に)を1要素ずつ呈示し,それに合わせて思考した上で,肯定あるいは否定的結末(例:自分が将来試験に受かるか否か)を自由に想像するよう参加者に求めた。結果,主語情報呈示時点のHEPで感情価による振幅の差が認められ,思考生成の最初期時点で身体からの求心性信号を受けて思考の感情的方向が規定されていることが明らかになった。
  • 今津 慎大郎, 楠見 孝
    セッションID: P1-B10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,新型コロナウイルスのワクチン接種への態度に及ぼす要因を検討することにある。特に,ワクチンに対する感情と効果の認知,さらに,健康リスク/ベネフィット認知に際して重要な役割を果たしているニューメラシー等を検討する。本研究では新型コロナウイルスの第5波流行中の2021年8月下旬に,ワクチン未接種の全国の20-70歳台の男女1103名を対象にweb調査を実施した。その結果,ワクチン接種の受け入れ態度とワクチンに対する感情やワクチンの効果認知との強い関連が見られた。さらに,受け入れ態度と強い関連のあった各々の要因と, ニューメラシー,周囲の意見分布や情報源への信頼性等の尺度得点との関連,インフルエンザや子宮頸がんワクチンとの差異を分析する事でワクチン接種に対する詳細な態度形成プロセスが明らかとなった。
  • 池田 和浩
    セッションID: P1-B11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,日常レベルで表出されるほめことばに内在する意味付け(純粋・形式・感謝・皮肉)が個人の特性によってどのように調整されうるのかを検証した。特に,周囲の状況に合わせて自己を調整しようとするセルフモニタリング傾向と他者を肯定的に認識する特性である他尊感情がほめことばに与える影響を検証した。60名の参加者は,実験初日にセルフモニタリング尺度および他尊感情尺度に回答したのち,当日から二週間の間に他者を実際にほめたこと,および,ほめようとしたが他者に伝えなかった思考を回答するよう求められた。ほめことばはGoogleフォームを用いた経験サンプリングによって収集された。分析の結果,セルフモニタリング傾向の低いものは高いものに比べ,ほめことばを他者に伝えることなく思考で終わらせる傾向が確認された。また,他尊感情が高いものは,低いものに比べ,感謝のほめことばを多用する傾向にあることが確認された。
  • ―ドライバの特性不安と年齢の効果 ―
    西崎 友規子, 大岸 真理子
    セッションID: P1-B12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    会議録・要旨集 フリー
    運転前に危険運転や事故シーンを視聴することによって、より慎重な運転を志向するような変化が生じる可能性が考えられる。また、このような運転行動変容は不安傾向が高いドライバで強く生じるなど、ドライバの個人差の影響を受けるかもしれない。本研究では、大学生と高齢者を対象とし、危険な運転シーンもしくは安全な運転シーンの視聴後、ドライビングシミュレータによる運転行動を記録した。実験データに基づき、参加者の特性不安得点の高低、そして、参加者の年齢が、危険運転シーン視聴後の安全志向運転の生起にどのような影響を与えるかを検討する。
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