本研究では,理学療法学科の臨床実習学生と臨床経験5年以上の理学療法士による4ボックス法を用いた臨床検討を比較し,患者全体像の把握と目標設定の熟達化について検討した。その結果,学生群は現時点でわかっている事実に注意が限定しているのに対して,熟達者群は時間的展望の視点をもって患者の全体像を把握し目標設定を試みていることがわかった。4ボックス法は,把握している情報の偏りを視覚的に認識することができるツールである。4ボックス法を利用した話し合いが,医療チーム内でどの程度患者の現状を把握しているのか,足りない情報は何か等,各自がメタ認知を働かせるきっかけとなることが期待される。