抄録
高齢者が示すICT機器利用困難の原因を追究するため,機器利用学習におけるガイド情報の利用過程に注目した.実験ではGroton Maze Learning Task(GMLT)を用い,複雑なガイドをGMLTに埋め込んだ際,ガイド利用が学習をどのように変化させるか,そこに加齢による違いがみられるかを検討した.ガイドの意味が理解容易な順向デザインとそうではない逆向デザインを設定し,若年成人・高齢者各36名を統制群/順向群/逆向群にランダムに割当てた.順向群ではガイド情報により両年齢群とも経路探索時間,ルールに則ったエラー数を減少させた.しかし逆向群では,若年成人はルールに則ったエラーの減少を示したが,高齢者ではエラー減少は見られなかった.高齢者は順向ガイドでは意味を抽出し,経路探索に利用できるのに対し,逆向ガイドは利用が困難であったことから,今後さらに高齢者の学習困難さの要因を検討していく.