主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
他者の気持ちを推定するうえで,表情の変化は重要な手がかりの一つである。しかしなが ら,表情の変化には時間的比率や系列位置などのパラメータがあるものの,これらが表情 認知に及ぼす影響は明らかでない。そこで本研究では,感情表情の出現の系列位置が表情 認知に及ぼす効果を定量的に検証した。実験では,表情写真が 3 秒呈示された。この 3 秒 は 0.6 秒ごとに 5 つの系列に区切られており,そのうち 4 つの位置では中性表情が,1 つ の位置では感情表情(怒り,嫌悪,恐怖,喜び,悲しみ,驚きのいずれか)が呈示され た。その後,表情の感情強度を 7 件法で評定させた(例: 1 まったく怒っていない; 7 とて も怒っている)。実験の結果,感情の種類を問わず,系列位置における親近性効果が観察 された。この結果は,変化する表情を観察すると,感情表情の認知は最近の表情の影響を 受けやすいことを示唆する。