主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
自人種顔が他人種顔よりも優位に認識できる現象を人種効果と呼ぶ。本研究は顔画像に対するWM形成過程のタイムコースを検討することで、記憶容量と符号化速度のいずれに人種効果が表れるかを調べた。実験課題は、自人種顔(アジア人顔)または他人種顔(黒人顔)に対する見本合わせ課題で、記憶刺激の呈示時間を250 msから1500 msまでの5段階に設定した。分析では、呈示時間に対する記憶成績(Cowan’s K)の変化に対して関数当てはめ(K = a{ 1 - exp( -bt ) })を行い、記憶容量(パラメータa)と符号化速度(t = 0時点の接線の傾き)を算出した。その結果、自人種顔の方が他人種顔よりも記憶容量が大きく、符号化速度が速かった。この結果から、WMにおける人種効果の生起には記憶容量と符号化速度の両方が関与していると示唆される。