主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
メタ認知的モニタリングの手がかり利用アプローチによると,学習者が自らの学習過程に関する判断を行う際,学習の進行に伴って,ヒューリスティックな判断の手がかり(記憶手がかり)が形成される。本研究では,単語リストの学習−再認テストを繰り返す実験事態において,各再認課題における参加者の反応に対して,意思決定プロセスの分析モデルの1つであるIRTreeモデルを当てはめることで,記憶手がかりの形成過程を検討した。再認課題における反応時間に基づいて参加者の反応を分類し,速い反応と遅い反応において,参加者が同様の判断を行なっていることを仮定するモデルと,別種の判断を行なっていることを仮定するモデルをセッションごとに比較したところ,セッションの進行に伴って後者のモデルが支持されるようになり,判断が分化していくことが確認された。この結果は,記憶手がかりの形成過程を反映するものであると考えられる。