日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第18回大会
セッションID: PT1_23
会議情報

ポスター1
IRTreeモデルを用いた記憶手がかりの形成過程の検討
山根 嵩史
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

メタ認知的モニタリングの手がかり利用アプローチによると,学習者が自らの学習過程に関する判断を行う際,学習の進行に伴って,ヒューリスティックな判断の手がかり(記憶手がかり)が形成される。本研究では,単語リストの学習−再認テストを繰り返す実験事態において,各再認課題における参加者の反応に対して,意思決定プロセスの分析モデルの1つであるIRTreeモデルを当てはめることで,記憶手がかりの形成過程を検討した。再認課題における反応時間に基づいて参加者の反応を分類し,速い反応と遅い反応において,参加者が同様の判断を行なっていることを仮定するモデルと,別種の判断を行なっていることを仮定するモデルをセッションごとに比較したところ,セッションの進行に伴って後者のモデルが支持されるようになり,判断が分化していくことが確認された。この結果は,記憶手がかりの形成過程を反映するものであると考えられる。

著者関連情報
© 2021 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top