神経心理検査とは、注意、記憶、言語、視空間、遂行などの能力を測るテストであり、高次脳機能の十分な知識と熟達した検査技能を併せ持つ専門家が行う必要があるが、対象者の多さに比して数が不足している。このアンバランスを解決する一つの方法が、遠隔技術を用いた検査の実施である。新型コロナウイルスの感染拡大により医療機関などの受診に制限が生じている現状において、その意義はさらに高まったと言える。本稿では、①ビデオ会議システムを用いて高齢者に行う神経心理検査の信頼性のレビュー、②利用者満足度のレビュー、③自験例における具体的な実施方法と留意点、④私たちが現在行っている一般的なweb会議システムを用いた標準失語症検査の予備的検証を紹介し、今後の方向性と課題を述べた。