抄録
2000 年代後半以降、国際貢献から人材獲得戦略へと変貌を遂げた留学生政策において、留学生の国内就職・定着は主たる政策課題となり、そのような社会的関心に応える研究も蓄積されてきた。本研究は、日本で働く元留学生の職場での経験や定着に向けた促進・阻害要因に関する先行研究をレビューし、これまで得られてきた知見を整理・共有するとともに、今後の課題を考察するものである。取り上げるのは、2012 年から2023 年の間に国内で発行された先行研究36 本である。それら研究の対象と方法、研究課題や検証範囲について概略を示した上で、元留学生の定着の現状、定着の促進・阻害要因、地方定着に向けての課題について先行研究から得られた知見を整理し、今後の課題を示す。