抄録
本研究は、演劇的手法を用いた国際共修授業の教育的効果を明らかにするものである。国際共修とは、留学生と国内学生が共に学ぶ授業形態であり、本授業では演劇やパフォーマンス創作を通じて異文化理解やコミュニケーション能力向上を目指す。本調査では、2017 ~ 2024 年度の対面授業を対象にアンケートとインタビューを実施し、グラウンデッド・セオリー・アプローチを援用して分析した。その結果、教育的効果を15 の〈カテゴリー〉、7 つの〔大カテゴリー〕、2 つの【最終的カテゴリー】に分類できた。そのうち、〔パフォーマンス関連の学び〕、〔創造力〕、〈メンバーへのリスペクト〉という3 項目は、東北大学国際共修ルーブリックにはなかった項目であり、本授業特有の教育的効果だといえる。さらに、虫明(2024)等を参照し、脳科学的視点による考察の結果、本授業は、右脳・左脳および大脳外部・内部がバランス良く働くことにより、共感力・自尊心・創造力の向上に効果的であることが明らかとなった。