抄録
性能創造型設計法は筆者の提案による新しい設計概念であることから本文においてその概念と意義および背景について述べる。まず最近の構造設計法の変遷の流れを「仕様規定から性能規定へ」と表現することは誤解を招くので「仕様準拠から性能準拠へ」のように論理的に表現する必要がある。また,「性能」に関し概念的,論理的に明確化することによって「性能照査」と「性能創造」との違いが顕在化してくる。「性能」は,「作用に対する応答の性質と能力」として定義できるのである。現在広く用いられている「要求性能」なる用語は性能を固定化することとなり好ましくない。そこでこれに代えて「機能」とするのが妥当である。もともと設計行為は能動的なものであるので日本語の「主観」が英語の「Subjective」であることは論理的に矛盾していることに言及した上で「サブジェクト」と「オブジェクト」の関係を設計行為と関連付けることにより設計行為の創造性が明確化されるのである。性能創造型設計法によって性能照査による受動的な閉塞感の払拭を図ることが期待できよう。プレストレストコンクリート技術協会では今年9月に性能創造型設計によるコンクリート構造設計施工規準を発刊し同協会が規定する各種の規準の中心的な存在とすることとした。その概要については同協会誌53巻2011年3号に委員会報告として公表してある。